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竹林軒出張所

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『ラスト・ショー』(映画)

ラスト・ショー(1971年・米)
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
原作:ラリー・マクマートリー
脚本:ラリー・マクマートリー、ピーター・ボグダノヴィッチ
撮影:ロバート・サーティース
出演:ティモシー・ボトムズ、ジェフ・ブリッジス、シビル・シェパード、ベン・ジョンソン、クロリス・リーチマン、サム・ボトムズ、エレン・バースティン、ランディ・クエイド、アイリーン・ブレナン

マクマートリーの「祭りの準備」

b0189364_20514796.jpg キネマ旬報ベスト・テン第1位の映画ということで、僕が20台の頃、心躍らせて名画座でこの映画を見たのだが、何だか後味が悪く、この映画のどこがそんなに良いのかと思った記憶がある。その後知ったことだが、当時のキネ旬の選考委員会でも若手の審査員はあまりこの映画を評価しておらず、年配の審査員が高い評価を入れているということだった。今回はすでに50台に到達した時点で見たわけだが、心に染みいる良い映画だと感じた。若い頃と印象が全然違うのに驚きである。青春時代を回想するノスタルジーのストーリーだからだろうが、それ以外にも映像がボグダノヴィッチ作品らしく安定した詩的なもので、エドワード・ホッパーの描く絵画を彷彿させる。ドンパチのハリウッド映画とは違ったアメリカのリアルな等身大の生活が描かれているのも良い。
 原作は、ラリー・マクマートリーというアメリカの作家による小説で、おそらく自伝的な作品ではないかと思われる。主人公の友達が軍に入り朝鮮戦争に行くなどというセリフがあることから、時代背景は1950年代だろう。舞台はテキサス州の田舎町で、町全体に閉塞感が覆っている。主人公も高校を卒業したが、何だか将来が見えてこないという状況である。その町での人々との出逢いや別れ、そして主人公の成長がこの話のテーマで、それがノスタルジックなモノクロ映像で描かれる。同じ監督の『ペーパー・ムーン』と非常に似た詩的な映像が心を打つ。こういったセンスの良い映画は最初の映像を見ただけで違いを感じることが多いが、この映画がまさにそうで、前に見たときはそれすら気付かなかったのだろうかと、我ながら少々情けなくさえ感じるのだ。
第44回アカデミー賞助演男優賞助演女優賞
1972年キネマ旬報ベスト・テン外国映画ベスト・テン第1位受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『ペーパー・ムーン(映画)』
竹林軒出張所『野のユリ(映画)』
竹林軒出張所『ギルバート・グレイプ(映画)』

by chikurinken | 2019-01-22 07:51 | 映画
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