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竹林軒出張所

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『フルーツ宅配便』(1)(ドラマ)

ドラマ24 フルーツ宅配便 (1)(2019年・テレビ東京)
原作:鈴木良雄
脚本:根本ノンジ
演出:白石和彌
音楽:高田漣
出演:濱田岳、松尾スズキ、内山理名、荒川良々、前野朋哉、原扶貴子

異色の設定が現実を映し込む

『フルーツ宅配便』(1)(ドラマ)_b0189364_19142226.jpg 2019年の最初の『ドラマ24』枠は、鈴木良雄の同名マンガのドラマ化作品。原作マンガの『フルーツ宅配便』は、「フルーツ宅配便」という名前のデリヘル業者での人間模様を描く作品で、現代の世相や貧困を赤裸々に描いているリアリズム・マンガである。
 主人公の咲田真一(濱田岳)が、ひょんな巡り合わせで、デリヘル店「フルーツ宅配便」に就職する。この店、デリヘル嬢に果物の源氏名をつけており、ホテルなどにそのデリヘル嬢を「宅配」するということで「フルーツ宅配便」を名乗っている。このあたりですでになかなか工夫が見られる(原作に由来するものだが)。そこに集まるワケありのデリヘル嬢が毎回主人公になって話が展開していくという作品である。
 今回このドラマを見てから原作マンガの第1巻と第2巻も読んでみたが、どのエピソードも非常によくできていて、しかも現代社会の貧困や庶民の苦しみが描かれている。作画も丁寧で、全編に余韻が漂う快作である。デリヘル嬢がどれもそこそこ不細工なのもリアルである。
『フルーツ宅配便』(1)(ドラマ)_b0189364_19144034.jpg このドラマについては、その原作の味が活かされていながら、特にこの第1回はさらに一味加えられていて、原作を上回る仕上がりになった。テレビ東京の深夜ドラマ枠は、『アオイホノオ』『俺のダンディズム』など、結構な意欲作が多く、毎回期待を持たされる(裏切られることも多い)が、この作品もその期待に違わぬドラマになりそうである。第1回のゲスト・キャスト、内山理名も好演で、僕など、最後までこれが内山理名だと気付かなかった。非常に不幸な話だが、ドラマ版ではわずかな救いがあった。もちろん決して不幸な人たちが幸せになるというような単純な話ではなく、その辺がこの原作、そして(おそらく)ドラマの魅力でもある。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『フルーツ宅配便 (2)〜(12)(ドラマ)』
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『俺のダンディズム (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『LOVE理論(ドラマ)』
竹林軒出張所『終電バイバイ(2)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『最貧困女子(本)』
竹林軒出張所『夜廻り猫 (1)(本)』

by chikurinken | 2019-01-18 07:14 | ドラマ
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