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竹林軒出張所

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坂田晃一回顧

 これまでも何度かこのブログで触れているんだが、あらためて坂田晃一という作曲家について。この人、70年代から80年代のテレビドラマの主題曲をよく書いていたので、我々の世代の多くは知らず知らずのうちにこの人の曲を聴いているのではないかと思う。
坂田晃一回顧_b0189364_17072858.jpg この人が当時よく担当していたのは日本テレビの『土曜グランド劇場』という枠のドラマ主題曲で、『2丁目3番地』(『目覚めた時には晴れていた』)や『3丁目4番地』(『さよならをするために』)の他、当時話題になっていた長いタイトルのドラマ(『二丁目の未亡人は、やせダンプといわれる凄い子連れママ』や『五丁目に咲いた恋は、絶対に結ばれないと人々は噂した』など)の多くもこの人が作曲担当である。他にも大河ドラマ(『おんな太閤記』など)やNHKの朝のドラマ(『おしん』など)まで担当しているので、当時から売れっ子であることには違いない。どの曲も質が高いが、最近は以前ほど活発な作曲活動はやっていないようで、しかも名前もそれほど(流行歌の作曲家ほど)知られているとは言えない。これほどの才能が世間でさほど注目されていないというのも随分もったいない話である。
 同じようなことを思っている人がいるのかわからないが、YouTubeでは『坂田晃一作品集』というタイトルで、坂田作品を多数公開している人もいる。また、坂田晃一の作品を集めたコンピレーションCDも発売されている(『坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス』)。そのCDが好評だったせいか知らないがその第2段(『坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス2』)が最近発売されたんで、僕自身もこれを入手してにわか坂田ブームになっており、それで今回あらためて坂田晃一をここで紹介しているというわけである。
 坂田作品の特徴は、叙情的でありながら浪漫的な点で、その多くは短調の曲であり、泣かせるメロディ、しかもオリジナリティ溢れるものが多い。だから何曲か聴いてみるとこの人の作品の特徴がわかる。あるいはある程度の年齢の人がいくつか聴くと「あああれか」と感じるかも知れない。そういう特徴的なメロディである。先ほどの『坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス』1、2の他、ダ・カーポのアルバム、『いんてぃめっと』(『グランド劇場』のテーマ曲が多い)や『「冬と夏の物語」坂田晃一の世界』(同じくドラマのテーマ曲が多い)についてもアマゾンで試聴できるんで、関心のある人は試しに聴くとよろしかろう。
坂田晃一回顧_b0189364_17072417.jpg 中でも坂田晃一らしさが一番出ているのは、前にも紹介したが、やはり朝倉理恵のアルバム、『誰のために愛するか』ではないかと個人的には思っていて、これが僕の一番のお気に入り作品である。この中に収録されている「さよなら、今日は」、「誰のために愛するか」は例によってテレビドラマのテーマ曲として使われた作品で、「目覚めた時には晴れていた」、「愛の伝説」はどちらもテレビドラマ(『グランド劇場』)のテーマ曲のカバーである。
 まだCDで復刻されていない坂田作品も多数あり(CMソングも大分書いていたようだ)、関係者には、是非何らかの形でこういった埋もれた曲に日の光を当てて、CDなどの形で提供して欲しいものだと思っている。いずれ『坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス3』が出るんじゃないかとは思ってはいるが。

参考:
竹林軒出張所『さよならの夏 〜それはルフラン 頭の中で響くの〜』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンがいるかは知らんがやっぱり「ひとさし指」が出た』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た』
竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』
竹林軒出張所『昨日、悲別で (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『母をたずねて三千里 完結版(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-01-13 07:06 | 音楽
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