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竹林軒出張所

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『完全密着 凶悪犯を捕まえろ』(ドキュメンタリー)

完全密着 凶悪犯を捕まえろ
(2017年・英True Vision)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

警察の人権尊重姿勢に驚く

b0189364_17592932.jpg 英国の警察に密着するドキュメンタリー。
 ある有名な古書収集家が自宅で殺されるという殺人事件が起こった。財布やクレジットカードが盗まれているため物取りであることが推測されるが、被害者を滅多刺しにするという残虐性から考えると怨恨のフシも考えられ、にわかに断定できない。
 捜査班は、例によって物証を集めるところから始めるが、やがて徐々に手がかりが得られる。何より現場の周囲に設置されている監視カメラの多数の映像が決め手になり、容疑者が浮上する。また、容疑者の子どもの証言からも容疑者が当日傷を負っていたことが明らかになり(本人は暴漢に襲われたと語っていたらしい)、その後容疑者の拘束に至る。家宅捜査すると、古書収集家が持っていた高価な古書が容疑者の家から出てくるなど、物証は十分。また生活に困窮していたことから動機も十分で、陪審裁判にかけられることになった。結局、禁固34年という判決が出される。
 このドキュメンタリーでは、こういった捜査の過程を追いかけるわけだが、何もないところから少しずつ証拠が出てくるあたりは非常にスリリングで、かつての刑事ドラマさながらであった。しかし何より驚いたのは、取調室の映像である。女性取締官2人が被疑者と面談し、しかも被疑者の隣に弁護士が立ち会うというもので、日本との違いが鮮明である。当然、取調官が被疑者にライトを当てて「吐けっ!」などということはなく(日本でもそういうことが実際に存在するのかはわからないが)、きわめて事務的かつ人道的で、まったく威圧的な雰囲気はない。何かのカウンセリングのシーンと言われても納得しそうである。被疑者の人権という観点からは実にすばらしいシステムだと思うが、これで証拠、特に自白が得られるんだろうかという疑問は残る。もちろん、やってもいないのに自白させてしまうという日本のシステムが良いとは断じて思わないが、率直に、こういう(温いとも思われる)制度できちんと凶悪犯罪に対処できるのかという点に疑問を持ったわけである。まあ少なくとも今回取り上げられていたケースでは、法の裁きがきちんと行われていたようで、それであれば理想的な制度と言えると思う。
英BAFTA映画祭受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『完全密着 消えた物証を追え(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ふたりの死刑囚(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『警察庁長官狙撃事件(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『DNA捜査最前線(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『FBIおとり捜査の現実(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-01-11 07:29 | ドキュメンタリー
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