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竹林軒出張所

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『メイド地獄』(ドキュメンタリー)

メイド地獄
(2018年・Plus Pictures/The Why Foundation他)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
シリーズ WhySlavery? 〜世界の"奴隷労働"〜

ISと違わない収奪システムがそこにはある

b0189364_18480053.jpg 中東諸国(レバノンやサウジアラビア)に赴いてメイドとなった多数の出稼ぎ労働者が、奴隷労働させられている実態を訴えるドキュメンタリー。
 こういったメイドになるのは、ケニアやフィリピンなど、自国で就業できない女性たちで、仕事を求めてこういった国に行くわけだが、そこでは雇用主によって移動が禁止されたり(スマホなどの)連絡手段を奪われたり、あるいは賃金が支払われなかったりということが日常的に行われるらしい。賃金が支払われないんであれば出稼ぎに行く意味がなく、まさしくただの奴隷に過ぎない。だが連絡手段を断たれた上外に出ることができず、それにパスポートまで奪われるために逃げるに逃げられない。こういういきさつで、こういった国では、出稼ぎメイドの自殺や落下事故(飛び降りに由来する可能性が高い)が非常に多いという。ところが当該国で取り締まりや補償が行われることなどなく、結局死んだメイドは死体となって母国に戻ってくるだけである。
 こういう動向を憂慮した、一部のメイド輸出国側(フィリピンなど)は、中東諸国でのメイドとしての就業を禁止しているが、それでも抜け穴をかいくぐってやって来るメイドは後を絶たない。
 中東諸国の人権意識の話などを聞くと、近代文明社会とは思えず、あきれ果ててしまうこともあるが、そういう部分がしわ寄せになって矛盾として現れるのが、ここで取り上げられたメイドのような社会的弱者の周辺なんだろう。こういう現状は到底容認しがたいが、サウジの首脳は(ケニアなどの)アフリカ諸国に赴いて、経済援助をちらつかせメイドの派遣禁止を解除させるようなことをやっているらしい。こういう人たちには、人権意識なんてものは皆無に近いようだ。
 こういった連中が君臨している社会であれば、少なくともその社会の内部から改善するということは望めない。そのため、状況を少しでも改善するには、メイド輸出国でこのような状況について広報するしかなさそうである。そうしなければ、現状を知らないメイド予備軍がだまされたままこういった国に赴き、あげくに人権蹂躙されてしまうことになる。とにかく何より周知せしめることが肝要で、要は広報活動や教育が大切であるというところに落ち着く。そういうことをあらためて思い知らされるルポルタージュであった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『暴かれる王国 サウジアラビア(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ISからの脱出(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『北朝鮮 外貨獲得部隊(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『アメリカ“刑務所産業”(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-01-09 07:31 | ドキュメンタリー
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