クレイマー、クレイマー(1979年・米)
監督:ロバート・ベントン
原作:アヴェリー・コーマン
脚本:ロバート・ベントン
出演:ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー、ジョージ・コー、ジェーン・アレクサンダー
70年代を代表する今日性のある映画
1979年に公開され、日本でも話題になった映画。これまで2回見ていて、内容をかなり憶えている映画なのでそれほど新鮮味はないが、しかし何度見てもグレードが高いと感じる。
(映画としては)比較的短い時間にさまざまなエピソードがぎゅっと濃縮されていて、しかもどれも過不足ないため、まったく飽きることがないし、どのシーンも記憶に鮮明に残る。
夫婦の離婚、そして父子・母子の関係を描いた映画で、後半は子どもを巡る裁判になるというストーリーである。当時のアメリカの世相を(そして今現在の日本の世相も)よく反映した非常によくできた話で、しかも使用前・使用後みたいな対句的なシーンも散りばめられていて、分かりやすく、なおかつ感情移入しやすくなっているのもすばらしい。邦題は何のことだかよく分からないが、原題は『Kramer vs. Kramer』、つまりクレイマー(夫)対クレイマー(妻)という、裁判の場面を意識したタイトルである(クレイマーは登場人物の姓である)。この原題も映画のテーマからは少しずれている感じがしないでもないが、邦題はそれに輪をかけてひどい。もう少し何とかならなかったのかと思うが、配給関係者が付けたタイトルだろうし、しかもこのタイトルがしっかり定着したんで、彼らにとっては御の字なんだろう。
登場人物も等身大でそれぞれが魅力的なのも、この映画の長所である。ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープの名優については言うまでもないが、子役のジャスティン・ヘンリーも非常に好演。今日でもテーマが説得力を持つ、70年代を代表する映画である。
第52回アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞他
第37回ゴールデングローブ賞ドラマ部門作品賞他受賞
★★★★参考:
竹林軒出張所『キッド(映画)』竹林軒出張所『チャンプ(1931年版)(映画)』竹林軒出張所『離婚の泥沼(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『風にむかってマイウェイ(ドラマ)』竹林軒出張所『ウホッホ探険隊(映画)』竹林軒出張所『プレイス・イン・ザ・ハート(映画)』竹林軒出張所『俺たちに明日はない(映画)』竹林軒出張所『卒業(映画)』