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竹林軒出張所

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『人間革命』(映画)

人間革命(1973年・東宝)
監督:舛田利雄
原作:池田大作
脚本:橋本忍
音楽:伊福部昭
出演:丹波哲郎、芦田伸介、仲代達矢、新珠三千代、稲葉義男、森次晃嗣、山谷初男、佐原健二、渡哲也、佐藤允、雪村いづみ、黒沢年男

これは映画ではなく教材である

b0189364_18582519.jpg 創価学会の池田大作の著書が原作の映画。僕はあの団体にはまったく何の利害も関心も持っていないため、元々この映画にもまったく興味がなかったんだが、子どもの頃「にんげんかくめいっ!」とやたら連呼するCMが記憶に残っていたのと、スタッフとキャストが豪華であるということを最近知ったため、あまり見る機会もない映画であるし、今回見ることにした。見たのは、BSの日本映画専門チャンネルで放送されたものである。
 宗教団体の映画ということなんで、教条を押し通すような映画でなければ良いな、スペクタクルがあれば良いななどと思っていたが、残念ながら予想通りの映画だった。創価学会を作った戸田城聖という人の半生を描くんだが、この人の半生自体(治安維持法違反で投獄されはしたが)あまりドラマチックな要素がなく、この人に思い入れがない人にとってはまったく見所がないと言って良い。この戸田という人が、獄中で悟りを開き、出獄、そして終戦を経て、その思想の広報活動を行うというストーリー。後半は、延々とその説法のシーンが続き、戸田役の丹波哲郎が語り尽くす。丹波哲郎の講義はなかなか迫力があって良いが、内容については大して興味が湧かない上、ただただ講義し続けるシーンが綿々と続くため、信者以外の人間にとって面白いわけがない。よくぞこんな映画を劇場公開したなというような代物である。断じて言うが、これは(一宗教の)教材であり(通常の概念の)映画ではない。要するに関係者の間だけで見るような素材である。もっとも公開時に劇場に足を運んだのはもっぱら学会員だっただろうし、全国の劇場を学界が貸し切りしたものだと考えれば、それはそれで東宝側のビジネスとしてはOKだったのかも知れない。しかしそれにしてもだねぇ……(ここは丹波哲郎風の言い方で)。
 この映画、製作費も配給収入も当時日本映画界でトップクラスだったようで、そのことが当時話題になったことは記憶している。ただ、製作費は(金のある)宗教団体からおそらく金が出ているわけだし、配収の方も、会員がチケットをたくさん買わされた(そしてそれを一般人に無料で配付した)ことが容易に想像されるため、それについては十分合点が行く。言ってみれば元祖・角川商法みたいな映画で、当時斜陽産業だった映画界にとっては、こういったスポンサーは上客だったことが想像される。ただそういうような製作姿勢は決して後の世からすると褒められたものではないし、作品の内容も推して知るべしである。はっきり言って、個人的にはまったく見る必要がなかったし、時間の無駄だったとも思う(もっとも彼らの考え方の一端には触れられたような気がする)。橋本忍まで動員してこんなPVばりの映像を作ってしまうというのは、いやしくも映画という芸術に携わる企業の姿勢としてはきわめて恥ずかしいことだと言わざるを得ない。
★★

参考:
竹林軒出張所『二百三高地(映画)』

by chikurinken | 2018-11-25 07:58 | 映画
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