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竹林軒出張所

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『よみがえる金色堂』(ドキュメンタリー)

よみがえる金色堂
(1970年・日映科学映画製作所)
脚本・演出:中村麟子
撮影:中山博司、石原保

記録映像に終始した作品
だが記録としての価値は十分ある


『よみがえる金色堂』(ドキュメンタリー)_b0189364_17550975.jpg 岩手県にある中尊寺金色堂は、奥州藤原氏の栄華を反映した建物として有名で、全面に金箔が貼られた建物が現存する。おそらく現在拝観できるようになっているんではないかと思うが、行ったことがないんで詳しいことはわからない。その様子は写真では見たことがあり、金閣を思わせるキンキラキンの外観は、かつての奥州藤原氏の繁栄を今に伝えるものだと思っていたが、実はこの金色堂、昭和37年から5年かけて修理し、その際に金箔を施したもので、それ以前の写真を見るとかなりボロボロで、金色堂と言うよりもわびさび堂というような風情である。このあたりは金閣と事情は似ているようである。
 で、このドキュメンタリーは、その際の復元修理の模様を記録したもので、金色堂に使われている螺鈿細工の再現や、蒔絵を施した柱の再構築などにスポットが当てられている。興味深い点も多いが、記録映像としては割合ありきたりで、特別目を引くものはない。もちろんそれぞれの職人技は見所が多いが、1本の映像作品としては平凡である。あくまでも記録の範疇を出ない。
 それより何より、金色堂を保護するために鎌倉時代に建てられた覆堂が、コンクリートで復元されたという話(これについてはこの作品の中で少しだけ触れられている)にいささか驚いた。金色堂については、文化財を作られたときと同じ方法で再現するという原則が貫かれているらしく、これは現在の文化財保護のあり方に共通する考え方であり、十分納得できるが、覆堂についてはまったくそうではないことになる。何でも耐震性などを考慮したということだが、コンクリート建築の方が災害時は危険だという考え方もある。文化財保護という観点からも受け入れられない話だと思うが、関係者はそのあたりは平気だったんだろうか。
 現在、修復工事をしている薬師寺東塔にも、基台にコンクリートを施したなどという話を先日聞いたが、文化財保護の観点から考えると、こういった少しずれた方法論がまかり通っていることに大変違和感を感じる。これはこの作品とは直接関係ない事柄ではあるが、映像を見ていて一番気になった点であるため、ここに記しておく。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『平泉 よみがえる黄金都市(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『炎立つ 総集編 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『桂離宮 よみがえる日本の美(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『五重塔はなぜ倒れないか(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『宮大工西岡常一の遺言(本)』
竹林軒出張所『鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言(映画)』

by chikurinken | 2018-11-15 07:33 | ドキュメンタリー
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