ルーツ (5)〜(6)(1977年・米)
第5話 自由への賭け
第6話 新たなる天地を求めて
原作:アレックス・ヘイリー
脚本:アーネスト・キノイ、ジェームズ・リー
演出:マーヴィン・J・チョムスキー他
出演:レスリー・アガムス、チャック・コナーズ、ベン・ベリーン、リチャード・ラウンドトゥリー、オリビア・コール、ゲオルグ・スタンフォード・ブラウン、ブラッド・デイヴィス、ロイド・ブリッジス、バール・アイヴス
苦難の登場人物が現代に繋がる
ネタバレ注意! アレックス・ヘイリーの『ルーツ』をドラマ化したもので、77年に全米でテレビ放送され大ヒットした作品。
第5回は、キジーの息子、ジョージ(通称チキン・ジョージ)が主人公である。闘鶏師として腕を上げたジョージは、やがてマチルダと結婚し、子どももできる。だがその後、ジョージの所有者である農園主(実の父の白人)と心情的に対立するようになる。そんな折、賭け闘鶏で大勝負に出たその農園主は、ジョージの奮闘も虚しく惨敗し、財産を失ってしまう。その抵当として、優れた闘鶏師であるジョージの所有権を譲ることになり、ジョージは数年間英国に渡ることになる。
第5回の後半は、ジョージの息子トムの世代。14年後に米国に帰ったジョージは、妻と息子のもとを訪ねる。そして自分が自由な身になり奴隷身分から解放されたことを打ち明ける。ただしこの地(妻と息子が住んでいる州)の法律では、この州に6カ月以上とどまった自由黒人は自動的に奴隷になるという条項があり、やむなくジョージは、妻と子ども達を置いて他の州へ去る。その後、南北戦争が始まる。トムは差別主義の白人たちと対立していく。
最終回は、その後のトムの一家の様子。南北戦争で南部が敗北し、黒人奴隷が解放されることになる。とは言え、白人同様の扱いになるわけではなく、身分が奴隷でなくても実質的には農奴的な生活を余儀なくされる。一方で、白人と対等な関係を主張するトムは、白人たちのリンチを受けることにもなる。そんな折、チキン・ジョージが戻ってきて、北部に農園を手に入れたから全員でそこに移ろうと申し出る。農奴を手放したくない白人たちとの戦いが始まる……。

ジョージはドラマの最後に、息子や孫たちを前にして語る。「我が家の最初の奴隷は、じいさんのクンタ・キンテだ。だが、じいさんは奴隷になる前は自由だった。遠いアフリカという国にいた。だが、太鼓を作るため木を探していて奴隷商人に捕まった。そしてアメリカのアナポリスに連れてこられた。クンタ・キンテは自分の生まれた国を決して忘れなかった。そして自分の国の言葉も。コーはハープで、カンビ・ボロンゴは川のこと。彼は自由になるために戦った。逃げられぬよう足を切られたあとでも。死ぬ前に、自由への夢を娘、キジーに託した。キジーはその夢を、次のジョージに託した。ジョージは、それを息子たちに。自由になる日まで。そしてついに自由になった。」
そして最後の最後に来るシーンは、アレックス・ヘイリー自身が登場して語る後日談である。トムの娘は、新しい農園で成長し、やがて材木商を営む黒人と結婚。その2人の間にできた娘はヘイリーという名の教師と結婚。そしてその間に生まれたのが原作者のアレックス・ヘイリー。ジョージが子孫たちに語った先祖の歴史が、ヘイリーの世代(クンタ・キンテの7代後)まで語り継がれてきた……と語られる。
第1回から第4回までと同様、全編非常に劇的で、見所も多い。ただし第6回は、少々演出を劇的にしすぎたせいで、やり過ぎ(演出過剰)の感が出てきた。視聴者を引き付けなければならないテレビドラマという観点から見れば仕方がないのかも知れないが、多少興が醒める。それでも、黒人の理不尽な被差別の有り様をまざまざと見せつけられ、差別というものがどういうものであるかが実感できるという点で、素晴らしいドラマであることには変わりない。最後にヘイリー自身が出てきて、このドラマの登場人物たちと自分との繋がりを語るという演出も大変よくできている。このドラマは、放送時、アメリカで(そして日本でも)非常に注目され高い視聴率を獲得したが、あの時代の人権意識の高さを物語るようなエピソードだと思う。今の時代みたいに人権意識が希薄になりつつある時代にこそこういったドラマが必要ではないかと思うが、今放送されたところであまり注目されないかも知れないとも感じる。
毎回のようにゲストキャストが出ていたが(前回も書いたが、実は知らないゲストが多かった)、第6回は、カントリー歌手のバール・アイヴスがそれに当たるようだ。ただしバール・アイヴスも、O・J・シンプソンやスキャットマン・クローザース同様、当時すでに俳優活動をやっていたため、他のキャストから浮いているというようなことはまったくない。
プライムタイム・エミー賞作品賞受賞
★★★★参考:
竹林軒出張所『ルーツ (1)〜(4)(ドラマ)』竹林軒出張所『キング牧師とワシントン大行進(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『人種隔離バスへの抵抗(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『グローリー 明日への行進(映画)』竹林軒出張所『ミシシッピへの旅(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『クー・クラックス・クラン(本)』