コンビニオーナーになってはいけない
便利さの裏側に隠された不都合な真実
コンビニ加盟店ユニオン、北健一著
旬報社
コンビニは極力利用しません
利用したくありません コンビニエンス・ストア、特にセブンイレブンのオーナーが、コンビニ・フランチャイズ企業からひどい仕打ちを受けていることを訴える本。
コンビニは、多くの場合、オーナーが資本金や土地を用意し、フランチャイズ企業と契約して、商品を用意してもらい、それを売り、利益をオーナーと企業とで折半するというのが全般的な仕組みである。だが実際は、企業だけが丸儲けするシステムで、オーナーは低賃金長時間労働を強いられる。最初に結んだ契約でがんじがらめに縛られ、フランチャイズ企業の理不尽な要求にも従わなければならない。中には身体を壊すオーナーもおり(オーナーの死亡率がきわめて高いことが本書のデータで示されている)、本書の「奴隷契約である」という主張も十分頷ける。
中でもひどいのが、廃棄食品(廃棄する食品の数)のノルマが企業から決められる(その上増やせと要求される)ということ。しかもその廃棄食品、実質的にはオーナーが費用を負担し、その費用をフランチャイズ企業に支払わなければならないことになっていて、きわめて理不尽なシステムができあがっている。つまりかなりの金額をフランチャイズ企業に自動的に吸い上げられることを強要するシステムになっているわけ。
一方でコンビニ・オーナーがバイト職員に理不尽な要求をするケースもブラック・バイトの例として非常に有名という事実もあるわけで、これは言ってみれば、フランチャイズ企業→オーナー→バイト職員という、抑圧の負の連鎖の結果ということもできる。こういったフランチャイズ企業はどこも概ね似たような労働者収奪システムができあがっているそうで、一番良いのはこういう悪徳業者と関わらないことだ。そういうことを今回この本を読んで納得したのだった。
本書は、いろいろと被害に遭ったコンビニ・オーナーたちが作ったユニオンが出した本で、主張は十分頷けるんだが、本書について言えば、大変読みづらい。文章も、これで校正したのかというような雑な文章が多く、構成もはなはだ雑である。さまざまなデータが示されてはいるが、データも解説も複雑でわかりにくいため、あまりプラスの効果は出ていない。そのために結局自己満足で終始してしまっており、もう少し見せる工夫が必要ではないかと思う。ユニオンが作ったパンフレットをそのまま本にしたようなレベルの書籍で、ユニオンが出したパンフレットであればそれでも良いのだろうが、ノンフィクション・ライターが関わっている(らしい)のにこのレベルでは少々情けない。
各章の最後にマンガが載っていて、これがわかりやすくて良いマンガではあるんだが、その章に書かれていることそのままをマンガにしているため、単なる内容の繰り返しになっていて、存在意義がわからなくなっている。いっそのこと予告編みたいにして前にまとめて置いておくとかの方がまだ良かったのではないかと思う。こうしたツッコミどころも多く、とにかく作りが雑という印象ばかりが目に付いたのだった。
★★★参考:
竹林軒出張所『ねてもさめてもとくし丸(本)』竹林軒出張所『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。(本)』竹林軒出張所『あなたのアパートは大丈夫?(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ロスジェネ社員のいじめられ日記(本)』竹林軒出張所『低価格時代の深層(ドキュメンタリー)』