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竹林軒出張所

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『未解決事件File. 07 警察庁長官狙撃事件』(ドキュメンタリー)

未解決事件File. 07 警察庁長官狙撃事件(2018年・NHK)
実録ドラマ「容疑者Nと刑事の15年」(2018年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

警察庁長官狙撃事件の真相が明らかに

『未解決事件File. 07 警察庁長官狙撃事件』(ドキュメンタリー)_b0189364_17245005.jpg オウム真理教の一連の事件が発生していた1995年3月30日に、警察庁長官が銃で狙撃されるという事件が起こった。時期が時期だけにオウム真理教の仕業とされ、オウム真理教との関連を持つ警察官が逮捕されて起訴された。一般的にはオウム真理教の犯行とされて収束したが、実はこの容疑者、その後不起訴になっている。当のオウム真理教関係者自体、他の事件については認めたがこの事件については一貫して関わりを認めていなかったという事実もある。
 当時、捜査に当たった警視庁内部では、(オウム真理教の犯罪が想定されたため)刑事部ではなく公安部がこの事件を担当しており、そのために最初から最後まで「オウム真理教の犯罪」であることが前提になっていた。一方で刑事部も並行して捜査を進めており、有力な容疑者、中村泰(なかむらひろし)に行き当たっていた。この男、この事件の後、現金輸送車襲撃を2回起こして当時刑務所に収監されていたが、アジトに大量の銃を隠していた他、警察庁長官狙撃事件で使われたものと同じ(特殊な)銃弾を持っていたことがわかっており、しかも狙撃事件の様子についても詳細に語ったりしていたらしい。第三者的に見ればコイツだろと思うんだが、結局公安部はこの事実を受け入れず、オウムの線を強引に押し通した。だが犯行に使われた銃も結局見つかっておらず、逮捕されていた(オウム関連の)容疑者の供述にも一貫性がないということで、結局この容疑者は不起訴になり、2010年に公訴時効を迎えることになったのである。
 このドキュメンタリーでは、この一連の事件を辿り、中村泰真犯人説に基づいて解明していく。なぜ真犯人がわかっていながら逮捕起訴に踏み切らなかったかについても考察する。
『未解決事件File. 07 警察庁長官狙撃事件』(ドキュメンタリー)_b0189364_17244613.jpg また、実録ドラマも同じ『NHKスペシャル』の枠で1週間後に放映された。キャストは、真犯人がイッセー尾形、これを追いかける警視庁の原警部を國村隼が演じる。イッセー尾形が演じる中村の風貌がそっくりで、さすがの芸達者と思わせる。中村については、高い知性を持つ(自称)革命家という描き方で、これはおそらく中村の取り調べに当たっていた原の心証によるものと思われる(このドラマでは原の著書『宿命』が原作のような扱いになっていた)。あくまで再現ドラマではあるが、それぞれのキャラクターが非常にリアルでドラマとしてもよくできている。ドラマ部分は、ドキュメンタリー部分をほぼ踏襲した内容になっており、まさしく「再現」したドラマである。ドキュメンタリーもドラマもどちらも十分見応えがあって面白かった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『未解決事件File. 02 オウム真理教(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『未解決事件File. 05 ロッキード事件(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-10-30 07:24 | ドキュメンタリー
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