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竹林軒出張所

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『華岡青洲の妻』(映画)

華岡青洲の妻(1967年・大映)
監督:増村保造
原作:有吉佐和子
脚本:新藤兼人
撮影:小林節雄
美術:西岡善信
出演:市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子、伊藤雄之助、渡辺美佐子、原知佐子、伊達三郎、田武謙三、杉村春子(語り)

端正な映像と小気味良い展開が魅力

b0189364_18211352.jpg 1967年、発表当初から話題になっていた有吉佐和子の小説『華岡青洲の妻』が大映によって早速映画化された。さすが文芸の大映といったところである。その作品がこの映画だが、スタッフが豪華な上、キャストも一流どころを揃えていて、なかなかの秀作に仕上がっている。
 主人公の華岡青洲は、全身麻酔による外科手術を世界最初に行った人で、有吉佐和子の小説によって一般人の間でも有名になったらしい。ただこの小説は、華岡青洲の功績を持ち上げるというものでは必ずしもなく、嫁姑の確執に焦点を当てるという、いかにも女流文学者らしい作品であった。映画でもそのあたりは非常にうまく再現されており、嫁の若尾文子と姑の高峰秀子が散らし合う火花がこの作品の見所の一つである。
 映画は90分程度に短くまとめられ、しかも小気味よく話が進むため少々ダイジェスト風ではあるが、忙しい現代人が見ても決して中だるみするようなことはないと思う。こういう風に短くまとめられたシナリオは、ともすると本当にダイジェストになってしまって陳腐な作品になることがあるんだが、そのあたりは演出の妙で、うまいこと処理されている。端正なモノクロ映像、それから大映らしい豪華なセットとあわせて、映画の完成度を高める役割を果たしている。増村保造作品の中でも会心の部類に入ると思う。
 キャストは、先述の若尾文子と高峰秀子は言うまでもないが、やはり市川雷蔵の存在感が素晴らしい。何をやっても絵になる役者だとあらためて思う。若尾文子と高峰秀子の紀州弁も非常に魅力的である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『紀ノ川(映画)』
竹林軒出張所『恍惚の人(映画)』
竹林軒出張所『陸軍中野学校(映画)』
竹林軒出張所『好色一代男(映画)』
竹林軒出張所『巨人と玩具(映画)』
竹林軒出張所『痴人の愛(映画)』
竹林軒出張所『卍(映画)』
竹林軒出張所『氾濫(映画)』
竹林軒出張所『兵隊やくざ(映画)』
竹林軒出張所『妻は告白する(映画)』
竹林軒出張所『ぼんち(映画)』
竹林軒出張所『炎上(映画)』

by chikurinken | 2018-10-26 07:20 | 映画
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