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竹林軒出張所

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『Peace』(ドキュメンタリー)

Peace(2010年・Laboratory X)
監督:想田和弘
撮影:想田和弘
ドキュメンタリー

淡々とした日常風景

b0189364_19483790.jpg これも想田和弘の「観察映画」。ナレーションも音楽もない。ただ淡々と目の前のことをカメラに収める。
 今回被写体になったのは、想田氏の岳父母(妻の両親)、柏木夫妻である。二人とも岡山市在住で、ボランティアで障害者の送迎を行っている。ただこの仕事、あくまでボランティアである。利用者からガソリン代だけを受け取っており、自治体からの補助金などもない。当然収益はない。仕事は別にやっているのかよくはわからないが、福祉関係の仕事を続けていた(いる?)ことは、義父の話から窺える。
 利用者を訪問し送迎するシーンがこの作品の主要部分になるが、一方で彼らの家にやって来るたくさんの猫も、もう一つの柱になっている。自宅で飼っているふうな猫もいるが、家に上げている映像はなく、実際には餌をやっている程度の飼い方のようだ。中には野良猫も混ざっている(義父は「泥棒猫」と呼んでいる)。そういった日常風景が淡々と映し出される。
 淡々とした日常風景以上のものはなく、これで映画になるのかというような映像ではあるが、見ていてそれなりに面白いのが不思議。タイトルは「Peace」だが、平和を大きな声で訴えるというような映画ではない。この淡々とした日常が平和(Peace)であると言われれば確かにそうなのかなとも思う。登場する利用者の中に末期の肺がんの人がいて、その人が吸っていたタバコがピース(Peace)だったが、まさかそれがタイトルの意味ではあるまい。
 ともかく描かれるのは、市井の人の淡々とした日々で、大した感想も出てこないが、しかし先ほども言ったように75分間まったく飽きなかったのも事実である。そのあたりは想田監督の手腕と言えるのかも知れない。
2011年香港国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞他受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『精神(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『選挙(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『選挙2(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-10-08 07:48 | ドキュメンタリー
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