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竹林軒出張所

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『オウム 獄中の告白』(ドキュメンタリー)

オウム 獄中の告白 〜死刑囚たちが明かした真相〜
(2018年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

アリバイ作りのような番組
結局わかったようでわからない


b0189364_18232374.jpg 先日、麻原彰晃を含むオウム関連事件の首謀者7人が処刑されたが、それに合わせて放送された「アンサー・ドキュメンタリー」である(その後、残りの6人も処刑)。
 彼ら受刑者たちが獄中で弁護士と接見したときの会話記録や、獄中から出した手紙から、オウム関連事件でどのようなことが起こったかを推測しながら、当時の事件を再構成して振り返るという内容である。
 会話記録や手紙、あるいは公判内容から事件の真相をあぶり出して、こういった事件が二度と起こらないようにするというのは、後の時代に住む我々の務めではないかと思うが、残念ながら死刑に処してしまったら結局わからずじまいのことがたくさん残ってしまうのは理の当然。まだわからない部分が多い(このドキュメンタリーでもそう言っていたが)にもかかわらず、なぜ(再審請求が出されている)この今の時期にいきなり7人も処刑してしまったか、法務省あるいは政権の良識を疑うところだが、ともかくこれによっていろいろな事実が闇の中に消えてしまったというこの事実は覆ることはない。
 実際このドキュメンタリーで紹介された、受刑者たちのいくつかのコメントからは、なかなか真相が見えてこない。このドキュメンタリーも、タイミング的に作る必要があったのかも知れないが、内容は、わかったようでわからないという状態で、きわめて物足りない。個人的には、オカルト・ブームで育ってきたアニメ世代の空想が、風通しの悪い組織で起こりがちの暴走と絡み合った結果、あのような連続殺人事件にまで行きついたのではないかと思うが、当事者の間でどのようなやりとりや葛藤があったのかがなかなか見えてこない。当事者がいなくなってしまったら、結局何も解明されないまま、この事件も過去の中に埋もれていくことになる。
 あの上九一色村にあったサティアンと呼ばれる教団施設は、ショッカーのようで不気味以外の何ものでもなかったが、ああいったショッキングな風景さえ、記憶の彼方に消えていってしまう。何らかの形できちんと総括しなければ、また同じようなことが繰り返されるかも知れない。この中途半端なドキュメンタリーを見て、そういう思いを強くしたのだった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『未解決事件File. 02 オウム真理教(ドキュメンタリー』
竹林軒出張所『死刑(本)』
竹林軒出張所『A(映画)』
竹林軒出張所『A2(映画)』
竹林軒出張所『「A」 マスコミが報道しなかったオウムの素顔(本)』

by chikurinken | 2018-08-03 07:23 | ドキュメンタリー
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