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竹林軒出張所

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『プーチンの復讐 前・後編』(ドキュメンタリー)

プーチンの復讐 前編後編
(2017年・米Kirk Documentary Group/WGBH Educational Foundation)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

「21世紀の凶悪な独裁者」というようなイメージ

b0189364_19131405.jpg 元々アメリカの公共放送(PBS)で放送されたドキュメンタリーらしい。
 プーチンは、KGBに入ったばかりの頃、東ドイツ政府が反政府活動により崩壊していくのを目のあたりにし、その後ソ連の崩壊についても目の前で見てきた。さらにその後も、米国が独裁国家に介入して独裁者を倒していき、しかもロシアの国内問題にまで介入した(とプーチンが思い込んでいる)ことから、米国に対して復讐を遂げたいと感じるようになった。そのためもあって、米政府(特にオバマ政権)に対して強行な態度を貫くようになり、ついには2016年の大統領選挙に(フェイクニュースなどの手段で)大々的に介入し、予想を覆す選挙結果をもたらした……というのが、この番組の主張。おそらく、民主党そして以前の米政府も同じような意識を持っていたのではないかと思う。したがって、この番組で描かれるプーチン像は、あくまでもアメリカ政府側からのプーチンのイメージであり、打倒すべき独裁者、世界の厄介者というようなイメージが貫かれている。前の政府関係者、あるいはCIA長官などのインタビューが番組の中にかなり入っていることからも、そのあたりは容易に察しが付く。
 もちろんプーチン自体、相当問題がある政治家であり、民主主義などまったく認めない独裁主義者で、旧ソ連のような体制の復活を目論んでいるというのは、実際に政敵を次々に粛正していたり放送局を占領したりしていることから容易に察しが付くが、それにしても、この番組で紹介されるプーチン像はかなり偏っていると思えるし、悪意も感じる。
 アメリカ大統領選挙への介入や、周辺諸国への侵略行為は確かに容認しがたいが、こういうような独裁者像を視聴者に植え込む手法は、フェイクニュースに近いものがあり、あまり良い気分がしない。この番組については、参考にはなるが、あくまでもアメリカの前政権までのプーチン像に過ぎない、というような若干距離を置いた冷ややかな見方をすべきではないかと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『プーチンの道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『オリバー・ストーンONプーチン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『KGBの刺客を追え(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『混沌のウクライナ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“フェイクニュース”を阻止せよ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『こうしてソ連邦は崩壊した(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-07-30 07:12 | ドキュメンタリー
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