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竹林軒出張所

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『ニュールンベルグ裁判』(映画)

ニュールンベルグ裁判(1961年・米)
監督:スタンリー・クレイマー
原作:アビー・マン
脚本:アビー・マン
出演:スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク、モンゴメリー・クリフト、マクシミリアン・シェル、マレーネ・ディートリッヒ、ジュディ・ガーランド

歴史に名高いいわゆる「ニュルンベルク裁判」
ではない


b0189364_19162254.jpg 名画だということもあって以前この映画を一度見てはいるが、バート・ランカスターの落ち着いた演技以外あまり記憶に残っていない。てっきり1945年の(ナチス政権の幹部を裁いた)いわゆる「ニュルンベルク裁判」を扱っている映画だと思っていたが、映画の中の裁判の途中で1948年のベルリン封鎖が出てくるため、あの「ニュルンベルク裁判」ではないことに、見ている途中で気付いた。過去一度見ているので、もっと早く気付いてもおかしくないのだが、うかつにも気付かないままだった。そもそも被告が、法律関係者(元法務大臣とか裁判官とか)のみであるため、あちらと異なるのは明らかななんだが、ボーッと見ていたためか以前は気付かないまま終わってしまったのだった(チコちゃんに「ボーっと見てんじゃねーよ!」と怒られそうだが)。そういうわけで、強いて言うなら「ニュルンベルク継続裁判」の1つがこの映画のオリジナルの舞台ということになる。ただし実際のところ、この映画のストーリーはほぼフィクションのようである。その割には細かい部分が非常によく考え抜かれていてよくできており、その点は感心する。てっきり、これもドラマ版の『東京裁判』みたいに基になった話があるのかと思っていた。
 映画では、この裁判の首席判事としてアメリカから呼ばれてきた田舎判事(スペンサー・トレイシー)が、ニュルンベルグに入り、裁判に関わって、その後ニュルンベルグを去るまでが描かれる。セリフ中心でストーリーが進められるため、会話劇のような内容である。舞台はほとんど法廷である。法廷では緊迫感が漂うやりとりが行われ、そういう点でも実にアメリカ映画らしい法廷劇と言える。
 元々は90分のドラマだったらしいが、それを倍の3時間に延ばして映画にしたのが、この作品ということらしい。だがさすがに3時間は長く、途中かなり眠くなった。キャストは割合豪華で、モンゴメリー・クリフトやジュディ・ガーランドが、法廷に呼び出される証人役で登場する。2人とも風貌が他の映画のイメージと大分違っていたため、最後まで彼らであることに気が付かなかった。またマレーネ・ディートリッヒが軍人の妻として登場する。ディートリッヒは、戦後すぐのドイツが舞台の『異国の出来事』でも、同じような存在感のある役回りを演じていて、それと重なるキャラクターである。途中、街の中から「リリー・マルレーン」が流れるシーンも多分にディートリッヒを意識した演出なのかも知れない。
 この軍事裁判については、勝者による一方的な政治的裁判という見方が貫かれており、また独裁政権下で人はどう振る舞うべきかというような問いかけも終始行われるなど、問題意識が高い作品である。そのためにエンタテインメント的な要素がやや少ない。そのせいで映画の長さが余計堪えることになる。何度かに分けて見る方が良かったかも知れないなどと、見終わった今になって考えている。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ドラマ 東京裁判 (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『招かれざる客(映画)』
竹林軒出張所『渚にて(映画)』
竹林軒出張所『老人と海(映画)』
竹林軒出張所『山猫(映画)』
竹林軒出張所『間諜X27(映画)』

by chikurinken | 2018-07-26 07:15 | 映画
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