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竹林軒出張所

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『ボクの就職』(1)〜(12)(ドラマ)

ボクの就職(1994年・TBS)
演出:大岡進、山口恒成、戸高正啓
脚本:竹山洋
出演:緒形直人、渡瀬恒彦、かたせ梨乃、伊東四朗、水島かおり、忌野清志郎、茅島成美、土屋久美子、白島靖代、竹野内豊、大森嘉之、小野武彦、斉藤洋介、渡辺真紀子、住田隆

魅力的なキャラクターが光る

b0189364_17561935.jpg 割合ありきたりの設定のホーム・ドラマではあるが、しかしキャラクターが非常にうまく描かれていることから、出色のドラマに仕上がっている。今回見るのは初回放送時、再放送時に続いて3回目だが、おかげで今回も十分楽しめた。
 主人公は新卒でレトルト食品企業に入社した若手営業マン(緒形直人)で、エリート銀行員の父との確執や、会社での理不尽な扱い、営業マンとしての奮闘努力がストーリーの中心になる。一種のサクセス・ストーリーであるが、全編に渡り笑いの要素がある他、あちこちに見所がある。同時入社の2人が要領の良いエリート(竹野内豊)と体育会系(大森嘉之)で、2人とも立ち回りがうまく、その点主人公がいろいろなところで出遅れたりするのも、見ていて非常に身につまされる設定で、多くの視聴者の共感を呼ぶと思う。知らないうちに社内の派閥抗争に巻き込まれたりというのも、非常にありがちである。そう言えば緒形直人、かつてNHKの『新橋烏森口青春篇』でも似たようなサラリーマン役を好演していた。当時の緒形直人、新人サラリーマンにうってつけの役者だったのかも知れない。
 緒形直人の他、渡瀬恒彦、かたせ梨乃、伊東四朗あたりの主演クラスはどれも素晴らしい演技で言うまでもないが、周りの脇役も味のある良い演技をしている。中でも異色なのは忌野清志郎で、主人公の義理の兄を演じている。このキャラクター、社会にあまり適用できないタイプで、いつも義理の父に怒られてばかりいる。ほぼ毎回「申しわけありません」というセリフが口から出てくる。結局はミュージシャンとして生きていくことを決意するんだが、そういう設定であるため、番組の中でも清志郎の生歌がかなり出てくる。最後の最後には、テーマ曲の「サラリーマン」を(ザ・タイマーズのメンバー、三宅伸治・川上剛・杉山章二丸らと)ライブで歌うという味のある趣向もある。最初の放送時にこのドラマを見た時、僕自身、忌野清志郎のことをあまり知らなかったため、てっきりこのドラマのキャラクターのようなだめ人間かと思っていたほどで、それを考えるとこのドラマの清志郎は名演技と言えるかも知れない(ただしセリフはやや棒読みである。存在感は抜群であるが)。
 後半はやや無理やりなストーリー展開になるが、演出やシナリオがよくできていて、ドラマ的な面白さもふんだんに盛り込まれている。何より完成度が高く質が高い。なかなかこれだけの完成度を持ったドラマはないと思うんだが、残念ながらDVDは発売されていない。
 今回、BS-TBSという冴えない民放BS局で3週間に渡って放送されたものを見たんだが、毎度ながら、民放BS局はもう少しこの手の国内ドラマを放送したら良いのにと思う。民放BS局のラインナップと言えば、チープな韓国ドラマと通販番組ばかりで、これで放送局としての存在価値があるのかと思わせられるようなものばかりである。BS-TBSについて言えば、7月はこの番組の他、ビートたけしが主演した名作、『大久保清の犯罪』も放送していて、少しは悪しき風潮を見直す機運が出てきたかと感じているが、この傾向がいつまで続くかはわからない。
★★★★

追記:
 なおこのドラマ、タイトルバックも秀逸である。あまりに面白いんで、僕は毎回見た(普通のドラマでは大体飛ばすんだが)。日本の美術作品(浮世絵や若冲など)がふんだんに使われていて(意図はよくわからないが)やたらゴージャス感があり、しかも上品なユーモアもある。何より、登場人物が主人公の目線から見た役割ごとにまとまって出てくるため、回数が進んでいくうちに味わいが増してくる。ちなみにこのタイトルバック、ザ・テレビジョン第1回ドラマアカデミー賞タイトルバック賞というよくわからない賞を受賞したらしい。

参考:
竹林軒出張所『こんな歌もあります--「原発賛成音頭」』

by chikurinken | 2018-07-22 07:55 | ドラマ
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