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竹林軒出張所

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『脳が壊れた』(本)

脳が壊れた
鈴木大介著
新潮新書

鈴木大介はいかにして
高次脳機能障害になったか


『脳が壊れた』(本)_b0189364_17352873.jpg 脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害に陥ったジャーナリスト、鈴木大介の闘病記。『脳は回復する』の前に書かれた著書で、『脳は回復する』が本書の続編という位置付けになる。僕は逆の順序で読んだが、それもありかなと思う。内容については両書で重なる部分が多い。
 本書については、倒れたときの様子、退院するまでの症状とその後の高次脳機能障害(感情失禁や注意欠陥障害)、さらに言えば倒れる以前の多忙な生活や(元々発達障害だった)妻の大病(脳腫瘍)などについても触れられている。高次脳機能障害の症状について綴られた箇所は特に興味深い部分で、患者本人の「内側からの」表現が非常に新鮮。このあたりは、『脳は回復する』と共通する。同時にこの病気が、著者自身の多忙で「異常な」生活を反省する材料になり、生活自体を改善するきっかけになったという記述もある。大きな病気ではあるが、決してマイナスばかりではなく、さまざまな気付きがあり、結果的にプラスだったことも多かったという率直な感想もある。
 記述は読みやすく、途中挿入されるイラスト(寺崎愛という人のもの)も楽しい。新潮新書は質の悪いものが非常に多いが、この鈴木大介の2冊については得るものが多く、良書と言える。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『脳は回復する(本)』
竹林軒出張所『壊れた脳 生存する知(本)』
竹林軒出張所『奇跡の脳(本)』
竹林軒出張所『脳は奇跡を起こす(本)』
竹林軒出張所『再起する脳 脳梗塞が改善した日(本)』
竹林軒出張所『最貧困女子(本)』
竹林軒出張所『うつ病九段(本)』

by chikurinken | 2018-06-25 07:35 |
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