ハリウッド発 #MeToo
(2018年・英Entertain Me Productions)
NHK総合 ドキュランドへようこそ!
ヒッチコックとポランスキーもか……
世界中に広がっていくセクハラ・スキャンダル。その発信源になったのはハリウッドである。ある女優が、ある大物プロデューサーに長年に渡ってセクハラを受けていたことを告発し、その後、同様の被害者がSNSで自分も被害者であることを告白するという具合にハリウッド全体に広がっていった(いわゆるMeToo運動)。
この大物プロデューサーというのが、ハーヴェイ・ワインスタインという男。ミラマックス社を設立し、アカデミー賞も意のままになるとまで言われた、まさに「大物プロデューサー」。でもただ一つ「まっとうな普通のプロデューサー」と違っていたのは、この男がパワハラ、セクハラの常習だったということだ。そのため、被害を受けた女優は非常に多く、それでもこのプロデューサーに目の敵にされると女優業すら危ぶまれるということで、女優側としては簡単に拒否できないと来ている。ホテルに呼び出され、性的サービスを強要される女優もいたらしい。このドキュメンタリーでは、そのあたりのハリウッド製セクハラ・スキャンダルを詳細に紹介する。
このワインスタイン、女性以外からも卑劣な男と見られていたらしく、尊大かつ傲慢、自己中心的だったという。脅迫まがいの行為もあったということで、結局、2018年の5月に(性的暴行のかどで)逮捕されたらしい。
このドキュメンタリーでは、この男の非道がいろいろな関係者の口から語られ、さながら、これこそがハラスメントである!というハラスメントのデパートのようである。世間には、セクハラ告発を受ける男に同情するような論調も(一部の男どもの間に)あるが、少なくともこのワインスタインが同情に値するとはまったく思えない。こういったクソヤローは告発して、破滅させてやらないといけないとさえ思う。卑劣な男が権力を握ってしまったら、周りの人間はこのように大いに迷惑するという好例である。同様の問題を持つ日本のいろいろな組織も、早く同じようなウミを出し切るように。もっとも中には「ウミを出し切るべき」などとしたり顔で語っている人間がウミだったりするから始末に負えない。
なお今回見たのは、NHK総合で最近放送が始まった『ドキュランドへようこそ!』という番組枠であった。この番組、これまでも『BS世界のドキュメンタリー』などで放送された作品をパッケージを変えて放送しているが、あまり良いものはなかった。食指が動いたのは今回が最初である。ちなみにこのドキュメンタリー、『BS世界のドキュメンタリー』でも(2018年6月12日に)放送されたようだ。
★★★☆追記:
このドキュメンタリーでは、ヒッチコックやポランスキーについても、セクハラを行っていたと語られていた。ヒッチコックもクソヤローだったのか(ポランスキーのセクハラについては割合有名)。
参考:
竹林軒出張所『説教したがる男たち(本)』竹林軒出張所『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い(本)』竹林軒出張所『私のいない部屋(本)』竹林軒出張所『#ジョニー・デップ裁判(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『“マリリン”を生きる(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『スクールセクハラ(本)』竹林軒出張所『ブラックボックス(本)』竹林軒出張所『未成年の性被害(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『盗撮・児童ポルノの闇(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『スポーツ界 性的虐待の闇(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『マーニー(映画)』竹林軒出張所『女たちがいなくなった日(ドキュメンタリー)』