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竹林軒出張所

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『第50回全国高校野球選手権大会 青春』(映画)

第50回全国高校野球選手権大会 青春(1968年・朝日新聞社)
監督:市川崑
脚本:井手雅人、白坂依志夫、谷川俊太郎、伊藤清
音楽:山本直純
出演:芥川比呂志(ナレーター)(ドキュメンタリー)

『熱闘甲子園』よりはグレードが高い

b0189364_18103392.jpg 今からちょうど50年前の「夏の甲子園」を記録したドキュメンタリー。
 監督は『東京オリンピック』の市川崑で、テイストもあの映画と似ており、大会関係者や選手に接写でアプローチするという手法である。映像が詩的で美しいのも『東京オリンピック』と同様である。ビスタかシネスコかよくわからないが、横長の画面にアップで映される選手たちの姿は、テレビ映像とはまたひと味違った味わいがある。応援団や周囲の風景も、『熱闘甲子園』風で取り立てて目新しいものはないが、詩的に映る。また音響面もユニークで、選手の息づかいが収録されていたり、塁審が選手にかける言葉が拾われていたりする。
 とは言うものの、たかだかスポーツの大会ではないかという意識もこちら側にはあり、これほど一つのイベントを持ち上げることは果たして良いことなのかという疑問を最初から最後まで抱いていたのは事実。もちろんこれは映画に限ったことだけでなく、世間の高校野球に対する見方に異議を唱えているわけであるが、この映画で高校野球がとりわけ大層に描かれていたため余計にそう感じたのである。
 だがこの大会については、今と違って公立高校の割合がはるかに多いのは好ましく感じる。それに馴染みの高校も出ていたため、そういうチームを見てみたいという期待もあって、あまり退屈するというようなことはなかった。決勝に残った静岡商業のエース・ピッチャーが(その後ジャイアンツのエースになる)新浦壽夫だというのも、僕にとって発見であった。
 今こうやってレビューをまとめていて驚いたのは、脚本担当者が4人もいることで、詩人の谷川俊太郎までが名を連ねている。ごく一般的なドキュメンタリー映画のように見え、それほどの大層なシナリオだとは思わなかったので、これはかなり意外な事実であった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『あっこと僕らが生きた夏(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-04-21 07:10 | 映画
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