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竹林軒出張所

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『サージェント・ペパー』(ドキュメンタリー)

サージェント・ペパー ビートルズの音楽革命(2017年・英Apple Corp.)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

優良音楽解説ドキュメンタリー

b0189364_18164680.jpg ザ・ビートルズの歴史的アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)』について解説するドキュメンタリー番組。案内人は、ハワード・グッドールという英国の作曲家。
 ヒートルズの音楽は、聞くところによると、音楽的にそれまでのポップミュージックとは大分違うらしく、僕なども非常に興味を持ったんで若い頃『ビートルズ音楽学』などという本を読んだりしたが、何だかよくわからない。そもそもが、楽譜を示されてなんやかんや言われてもピンと来ない。音楽はやはり音楽を聴かせてもらった上で解説してもらわないことにはなかなか簡単に理解できない。以前ヒッチコックの映像を解説するドキュメンタリー(竹林軒出張所『巨匠たちの肖像 ヒッチコック(ドキュメンタリー)』を参照)があったが、あれなども同様で、映像を見せてもらわないことには、よほどのマニアでなければピンと来ない。その点、あのドキュメンタリーは良かった。
b0189364_18165167.jpg このドキュメンタリーもあれと同様で、実際の楽曲を使って、どの部分にどういう面白味があるかわかりやすく教えてくれる。そもそも『サージェントペパーズ』自体、知らないとかなり謎の多いアルバムで、面白さはわかるが、本当のところは見えてこない。「With a Little Help from My Friends」や「Lucy in the Sky with Diamonds」が幻覚剤の影響とか、その程度の知識はあっても、「Being for the Benefit of Mr. Kite!」などの楽曲に至るとさっぱり意味がわからない。せめてどういういきさつで作られたかがわかれば、もう少しこちらとしてもわかりやすくなる。そこでこの番組ということになる。「Being for the Benefit of Mr. Kite!」については、ジョン・レノンが19世紀のサーカスのポスターを目にして、そこで使われている文言をそのまま使ったという話で、そんなもん聞かなきゃわかるわけがない。ましかし今回、ほとんどの楽曲について解説があったんで、いろいろなことが非常によくわかった。ビートルズが楽曲で使ったという風変わりな楽器も紹介されて、どの部分にどういう効果が出ているかなどについても詳細な解説があった。しかも、録音方法(これも当時としては非常に画期的だったらしい)も紹介されたし、作品では使われていない別テイクや素材の音なども出てきて、非常に面白かった。少なくとも『サージェントペパーズ』がかなり作り込まれたアルバムであることは窺える。
 あらためて言うまでもなく、アルバム自体が難解であることを考えると、こういった解説番組は非常に有用である。それに案内人が一部を再現したりしているため、きわめてわかりやすく、解説自体も非常に質が高いと言える。アップルレコードとBBCが共同で作ったドキュメンタリーらしいが、これまで数々発表されたビートルズのドキュメンタリーの中でも最上級で、永久保存版と呼んでもよかろう。
 ただ、放送時は気が付かなかったが、この番組で解説されていた一部の楽曲、「Strawberry Fields Forever」や「Penny Lane」は『サージェント・ペパー』に収録されている曲ではないし、一方で「With a Little Help from my Friends」、「Fixing a Hole」、「When I'm Sixty-Four」については解説がなく、少々ちぐはぐさもあった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『The Making of Sgt. Pepper(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カルロス・クライバーのドキュメンタリー2本』
竹林軒出張所『カラヤン ザ・セカンド・ライフ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『巨匠たちの肖像 ヒッチコック(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-03-16 07:16 | ドキュメンタリー
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