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竹林軒出張所

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『寺内貫太郎一家』(22)(ドラマ)

寺内貫太郎一家 第22話(1974年・TBS)
演出:久世光彦
脚本:向田邦子
音楽:井上堯之、大野克夫
出演:小林亜星、悠木千帆、西城秀樹、浅田美代子、加藤治子、梶芽衣子、左とん平、由利徹、横尾忠則、篠ひろ子、藤竜也

絶好調時の向田邦子作品

b0189364_18173182.jpg 懐かしの『寺内貫太郎一家』が、BSトウェルビとかいうよくわからない放送局で再放送されていたので見てみた。僕が子どもの頃も毎週見ていたし、学校でもかなり話題になっていた作品で、悠木千帆(後の樹木希林)のばあちゃんが沢田研二のポスターに向かって「ジュリー!」と叫ぶ毎週恒例のシーンは、かなりブームになって、多くの子供達がマネしていた。
 昔は確かに面白いと思って見ていたが、今見るとまた違った感想が沸くのでは……と思って今回見てみたわけだが、正直言って、コントとバラエティとドラマを混ぜ合わせてごった煮にしたようなドラマで、何じゃこりゃと思いながら見ていたのだった。だがそのうち、当たり前のように思えることが幸せ、当たり前のように存在している人が実は大切だ……というようなメッセージが伝わってきて、演出はともかく、かなりよくできたシナリオであるように思えてきた。
 実際に久世光彦の演出については、アドリブがかなり混ぜられるようなものだったらしく、山田太一はそのせいで彼とぶつかったらしいが、向田邦子はその辺は特に気にしなかったと見える。実際、このドラマには随所にアドリブめいた箇所がある。そのためにコントやバラエティみたいな様相を呈してくる。それによって面白くなる場合もあるが(実際当時はそういう部分が受けていたわけだし)、完成度はそれに伴って下がることになる。とは言っても、今回見た第22話については、先ほども言ったようにシナリオが非常に優れていて、とりとめのないゴチャゴチャした展開が、最後に実にスッキリした形で収束することになっていた。お見事としか言いようがない。最後の方のシーンでマドンナの浅田美代子が屋根の上で「幸せの一番星」を歌うのも毎度の定番だったが、結果的に静かな収束を象徴するような演出になっており、良い効果が出ていると言える(ただしギターを弾くふりはみっともないと思う)。そういったあたりがこのドラマの魅力だったのだと今回あらためて思った。
 他にもタイトルデザインが横尾忠則だったり、しかも横尾忠則がチョイ役で出演していたりして、別の面白さもある。音楽の担当が、井上堯之、大野克夫、岸部修三(岸部一徳)というのも贅沢である、今思うと(要は井上堯之バンドのメンバーたちなんだが)。キャスト陣もかなり豪華で、当時人気が出たのも頷ける……そういう1本だった。とは言え、見るのはこの1本だけで良いかなとも思った。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『あ・うん (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『ちょっと愛して…(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-03-09 07:17 | ドラマ
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