ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『アフター・ヒトラー 前後編』(ドキュメンタリー)

アフター・ヒトラー 前編後編
(2016年・仏CINÉTÉVÉ)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

大きな事件の間にミクロ的な歴史がある

b0189364_19545397.jpg ナチス崩壊後のヨーロッパ世界の映像をカラー化してまとめたもの。
 ナチスが占領していた国々での旧ドイツ兵に対するリンチ、親ナチスの人々に対する処刑などの映像から始まり、強制収容所のユダヤ人の姿などショッキングな映像がかなり出る。東欧で生き残りのユダヤ人に対して虐殺事件が起こったなどという、あまり表に出てこない事件もきっちり紹介されて、そういう点でもかなり興味深い。終戦後のベルリンの惨状や、市民による瓦礫の撤去の映像なども出てきて、こちらも珍しい。一般的な歴史学では、ドイツ降伏、ヨーロッパでの第二次大戦終結、日本降伏、太平洋戦争終結、米ソ東西対決みたいに続くわけだが、それぞれの事件の間には、ミクロ的な歴史があるという当たり前のことがあらためてわかる。
b0189364_19544862.jpg 後半では、ドイツの東西分断、ベルリン空輸、米ソ対決が扱われ、ここまで見てくると、歴史の流れが教科書的な事項の並びでなく、時代のうねりとして伝わってくる。編集がうまく行われているため、戦後ヨーロッパ史を俯瞰するのに適した素材になっていて、完成度も高い。アメリカの進駐軍が、「敵=ドイツ人」(「ドイツ人に気を許すな」というキャッチフレーズがあったらしい)という構図から「敵=ソ連」という構図に変わっていく様子もよくわかる。
 映像については取り立てて珍しいものはないが、ほとんどの映像がカラー化されていて、その点だけでも貴重である。歴史の実像に触れられるような構成で、よくできた歴史ドキュメンタリーになっていた。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ドイツ零年(映画)』
竹林軒出張所『戦後ゼロ年 東京ブラックホール(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第5集〜第8集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 権力掌握への道 前後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーで見る 独裁者スターリン(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-02-27 06:54 | ドキュメンタリー
<< 『決戦!鳥羽伏見の戦い』(ドキ... 『ロシア革命 100年後の真実... >>