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竹林軒出張所

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『ボヴァリー夫人』(映画)

ボヴァリー夫人(1991年・仏)
監督:クロード・シャブロル
原作:ギュスターヴ・フローベール
脚本:クロード・シャブロル
撮影:ジャン・ラビエ
出演:イザベル・ユペール、ジャン=フランソワ・バルメ、クリストフ・マラヴォワ、トマ・シャブロル

仏文学史上最大のバカ女

b0189364_19074634.jpg 『ボヴァリー夫人』といえば有名なフランス文学で、タイトルについてはあちこちで聞くが、読んでいないため内容を知らないという「ちょっと恥ずかしい」状態が長い間続いていた。そこで意を決して、原作に忠実と言われている映画を見ることにした。本当は原作に当たるのが一番良いんだろうが、映像だと当時の風俗などが一目でわかるので、原作に忠実な映画があればぜひそちらを見てみたい、というのが僕の考え方なのである。
 この映画は、Amazonの批評を読む限り「もっとも原作に忠実」ということらしいので、ボヴァリー代表としてこの作品を選んだ。確かにストーリーについては原作に忠実に作られているようで、そういう点では満足感が高い。ただし原作のテイストがこういったものなのかどうかはわからない。この映画では主人公のエマ・ボヴァリーは相当なバカ女で、もちろんそういった愚かな部分は誰にでもあり、そういう人間の愚かさ(特に女性的な部分)を集めた人物像としてフローベールが描いたとも考えられるが、本当のところはやはり原作を読まなければわからないということになる。ともあれ僕は、この史上最大とも言えるバカ女に興味を持ったのは確かで、周辺のいろんな人間を彼女に投影しながら見ていたのであった。最低限、自分をボヴァリー夫人に投影しないで済むような人生を送らなければなるまいとは思う。
 このボヴァリー夫人、どういう話かというと、比較的裕福な医者と結婚したエマが、現状に飽き足らず、婚外恋愛する上、洋服やなんかに散財して身を滅ぼすという、今の時代結構良くある話である。ただディテールが細かく描かれているため、ありきたりとか陳腐というような印象はまったくない。前半はかなり退屈したが、後半は「バカな女だ」と思いつつも彼女の人生をしっかり最後まで見届けることができた。原作では、その後の夫、ボヴァリーの生涯も描かれるようで、この夫の方にも問題があるような描写になっているようだ。映画ではナレーションで軽く触れられているだけで、特に夫側の問題点は感じられない。主役のイザベル・ユペールが原作の「エマ」と比べると少々年を取り過ぎているようだが、そのあたりもあまり気にならない。要はうまくまとめられた作品ということで、『ボヴァリー夫人』の映像化作品としてはベストの部類に入るんじゃないかと思う(他の作品は見ていないが)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『原作と映画の間』
竹林軒出張所『レ・ミゼラブル (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『居酒屋(映画)』
竹林軒出張所『ゴリオ爺さん(映画)』
竹林軒出張所『赤と黒(映画)』
竹林軒出張所『レディ・チャタレー(映画)』

by chikurinken | 2018-02-21 07:07 | 映画
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