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竹林軒出張所

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『デナリ大滑降 究極の山岳スキー』(ドキュメンタリー)

デナリ大滑降 究極の山岳スキー(2017年・NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

映像技術の進歩に驚嘆

『デナリ大滑降 究極の山岳スキー』(ドキュメンタリー)_b0189364_18335152.jpg タイトルになっている「デナリ」とは、かつてのマッキンリー。北米最高峰にして、かの植村直己が命を落とした山である。その植村直己の影響を受けて登山家になった佐々木大輔という人が、この山に登りそこから南西壁をスキーで下って降りてくるという冒険をした。その冒険の様子を記録したのがこのドキュメンタリー。
 元々は50分枠のNHKスペシャルで放送されたもの(NHKスペシャル『極北の冒険 デナリ大滑降』)だが、このBS1で放送されたものは2時間枠(正味100分)で放送された「完全版」である。完全版であるためか若干間延びした部分があるが、最後の大滑降のシーンは、映像史上に残るようなすばらしい映像である。佐々木自身の頭部に搭載したミニカメラ、スキー板に搭載したミニカメラ、それからドローンを使用したかどうだかわからないが空中からの映像、別の同行者によるハンディカメラの映像など、さまざまな映像を集約した大滑降映像の臨場感は、現場に同行しているかのような錯覚すら抱く。少し前の時代でも比較的大きめのカメラが必要だったわけで、こういった映像を撮るのはまず不可能だった。それを考えると、映像技術の進歩に驚く。
『デナリ大滑降 究極の山岳スキー』(ドキュメンタリー)_b0189364_18333651.jpg NHKも資金面などでこの冒険をサポートしているんだろうが(そうでなければ冒険者自身がこれだけ映像協力しないだろう)、少なくともこれだけの映像を撮ることができれば十分元が取れていると思う。ただこの冒険者が万一遭難した場合、責任問題などに発展するなどということはないんだろうか。考えようによっては、自社のソフトのために無茶な仕事をさせているという見方もできるわけだし、そういった馬鹿げた批判をする人間が多い昨今である。基本的には冒険者側から持ちかけたものだと思うし、冒険家というのはそういうものなので問題にすることはないんだろうが、そういうこともつらつら考えてしまった。とは言え、映像だけをとってもこれはもう貴重であり、まったく申し分ない作品である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ヒマラヤ8000m峰 全山登頂に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒマラヤ “悪魔の谷”(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『銀嶺の空白地帯に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ドキュメンタリー3本』「エベレスト 〜世界最高峰を撮る〜」
竹林軒出張所『手足をなくしても 〜ある登山家の挑戦〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『栗城史多の見果てぬ夢(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『外道クライマー(本)』

by chikurinken | 2018-02-09 07:31 | ドキュメンタリー
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