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竹林軒出張所

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『小説吉田学校』(映画)

小説吉田学校(1983年・東宝)
監督:森谷司郎
原作:戸川猪佐武
脚本:長坂秀佳、森谷司郎
撮影:木村大作
出演:森繁久彌、芦田伸介、小沢栄太郎、竹脇無我、池部良、夏目雅子、若山富三郎、西郷輝彦、高橋悦史、角野卓造、梅宮辰夫、藤岡琢也

再現ドラマとしてはよくできている

b0189364_17442580.jpg 第2次吉田茂内閣から第5次吉田内閣までの激動の時代を、保守政党、自由党の内部の抗争という視点で描く。主人公はワンマン宰相、吉田茂(森繁久彌)で、各国との講和を通じた日本国の独立に執念を燃やし実現するが、その後、総理の地位に固執し、公職追放から復帰してきた自由党の重鎮、鳩山一郎(芦田伸介)を支持する一派と対立する。三木武吉(若山富三郎)を筆頭とする鳩山支持派はその後自由党から離党し日本民主党を結成、吉田を追い落とすことに成功した後、自由党と再び合同して自由民主党を結成し、55年体制が始まるという流れである。
 映画では、サンフランシスコ講和条約を締結するまで(つまり日本国が独立を果たすまで)がモノクロ、それ以降がカラーというやや安直な演出になっている。もっともわかりやすいと言えばわかりやすい。基本的にこの映画、再現ドラマであり、こういうことが起こったよというのを利害関係のみに着目してなぞっていくというコンセプト(だと思う)。したがって、人間の内面などは特に描かれず、描かれるのは野望と陰謀、それもかなり美化されたものであるため、ドラマとして見るには少々鼻白んでしまう。
 ただ、今回は日本現代史の勉強のつもりで見たので、意外に楽しめたのであった。何よりそれぞれのキャストがモデルとなった登場人物によく似ているのが印象的である。森繁久彌の吉田茂、芦田伸介の鳩山一郎は言うに及ばず、竹脇無我の佐藤栄作(もちろん佐藤栄作はあんなに男前ではないが雰囲気が非常に似ている)、高橋悦史の池田勇人などは非常に秀逸である。角野卓造の宮沢喜一まで何だか雰囲気が似ていたし、西郷輝彦の田中角栄は顔は全然違うが、しゃべり方が似ていてこれも非常に雰囲気が出ていた。バカヤロー解散も再現されていたことだし、再現ドラマとしてはかなりよくできていると言って良い。そのため、日本現代史を勉強したい受験生(受験生でなくても良いけど)にはうってつけの素材と言えるかも知れない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『八甲田山(映画)』

by chikurinken | 2018-02-03 07:44 | 映画
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