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竹林軒出張所

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『カラーでよみがえるアメリカ 1、2』(ドキュメンタリー)

カラーでよみがえるアメリカ 1920年代1930年代
(2017年・米SNI / SI Networks / Arrow International Media)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

現代アメリカ史のカラー映像

『カラーでよみがえるアメリカ 1、2』(ドキュメンタリー)_b0189364_20042059.jpg 『カラーでよみがえる第一次世界大戦』『ヒトラー 権力掌握への道』『カラーでよみがえる東京』と同じような企画で、要するに過去のモノクロ映像をカラー化して、現代的なリアリティを持たせようという試みである。今回カラー化されたのは、20世紀のアメリカ合衆国の映像。20世紀はアメリカの世紀であり、しかもアメリカの場合、かなり初期からモノクロ映像が大量に残されていることを考えると、登場するべくして登場した企画と言って良かろう。
 豊富な映像が残っているせいか、1920年代から60年代まで、10年単位で5回シリーズに分けられている。さすが大国アメリカ。1970年代以降はカラー映像が日常的に現れてきたため、60年代までで区切るというのは良い選択かも知れない。
 さて1920年代は、自動車が普及して、摩天楼も並び立ち、アメリカが好景気に沸いた時代。ところが1929年10月にウォール街で株式が大暴落して、そのバブルが一挙に崩壊するという過程を辿る。この間の様子を、カラー化したモノクロ映像で再現する。画像は非常に美しく、禁酒法の時代やバブルの時代がリアルに浮かび上がってくる。『カラーでよみがえるアメリカ 1、2』(ドキュメンタリー)_b0189364_20042479.jpg1930年代は、恐慌時の映像からルーズベルトのニューディール政策へと流れる。またオーソン・ウェルズの『宇宙戦争』(ラジオ・ドラマであまりにリアルな演出をしたため、多くのリスナーが本物だと信じて、全米に大混乱が起こった事件)や『オズの魔法使い』の製作現場など、文化的な部分の映像も紹介されている。ひときわ印象的だったのが、30年代に米中部で発生したダストボール(巨大な砂埃の塊)の映像で、これはカラー化することで大いに迫力を増した好例である。
 映像を見ているだけでも面白いが、ただしモノクロ映像としてよく目にしたような映像も結構あり、「カラー」という以外の新鮮さはあまりない。しかも(一定のテーマ性はあるにはあるが)基本的に時系列で並べていくだけのアプローチであり、編集もきわめてオーソドックスであるため、NHKがかつて製作した『映像の世紀』シリーズのような面白味は感じなかった。見せ方にもう一工夫が欲しかったところである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 3、4、5(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『再びカラーでよみがえるアメリカ 1(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『再びカラーでよみがえるアメリカ 2、3、4(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・カラーでよみがえるアメリカ 1〜3(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえるイギリス帝国(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえる東京(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえる第一次世界大戦(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえるパリ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 権力掌握への道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでみる太平洋戦争(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『終戦直後の日本(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーで見る 独裁者スターリン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『よみがえる“ワルシャワ蜂起”(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『色づくQ』
竹林軒出張所『地獄門 デジタル・リマスター版(映画)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第1集〜第4集(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-01-19 07:24 | ドキュメンタリー
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