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竹林軒出張所

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『カリスマ指揮者への道』(ドキュメンタリー)

カリスマ指揮者への道
(2016年・独S.U.M.O Film Production / Götz Schauder Film)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

指揮者コンクールの裏側

b0189364_19443503.jpg 2008年のゲオルグ・ショルティ国際指揮者コンクールに密着するドキュメンタリー。
 指揮者コンクールがどのように行われるかは一般的にあまり知られておらず、僕なども小澤征爾の著作を通じてある程度聞きかじってはいたが、実際に目にするのは今回が初めてである。そういうこともあって、なかなか新鮮であった。
 実際に参加者に指揮をさせるのは第2次審査からで、第1次審査は本人から送られてきた映像を基に選考が行われる。第1次審査は「書類審査」みたいなものだが、この選考の様子も公開される。応募数540人から24人が選抜され第2次審査、さらに9人が第3次審査、そして3人が最終選考に残る。
 こういったコンクールは、参加者の1人が語っていたように、実力的にはほとんど差がなく多分に運の要素が大きい。そのため、有望そうな指揮者が第3次予選に残れなかったりということも起こっている。一方で、非常な才能を秘めているがきわめて荒削りな(と審査員に表される)参加者もいて、この参加者については審査員の意見もかなり分かれるんだが、そういう候補が3次審査まで残ったりする。この参加者、3次審査で落ちることになるが、若いせいか(最年少だったらしい)かなり傲慢な言動も目立ち、自身のどこが問題なのかコンサートマスターに執拗に食い下がったり(要は自分の方が正しく、それを評価しない審査の方に問題があるといいたいわけだが)、他の参加者をけなしたりという側面も見せていた。人生がかかったこういった場には人々の人間性が現れてくるものである。そういう部分を的確に捉えている点でも、このドキュメンタリーはなかなかよくできていたと言える。ドラマチックで密度が高い秀作であった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ショパン・時の旅人たち(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ストラディバリウスをこの手に!(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのショパンコンクール(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2017-12-17 07:44 | ドキュメンタリー
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