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竹林軒出張所

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『グッドバイ・ママ』(1)〜(11)(ドラマ)

グッドバイ・ママ (1)〜(11)(1976年・TBS)
演出:堀川敦厚他
脚本:市川森一、桃井章
出演:坂口良子、篠田三郎、平幹二朗、宇野重吉、北林谷栄、岡田裕介、大門正明、柴俊夫、渡辺篤史、中条静夫、伊東四朗、范文雀、下條アトム、岸部修三、風間杜夫

イタイ主人公に辟易

b0189364_18450751.jpg ジャニス・イアンの「Love is Blind」が流れるタイトルバックが印象的だった40年前のドラマ。タイトルバックは、母親役の坂口良子が娘役の女の子の手を引いて小田急線の踏切(小田急線梅ヶ丘駅近くだそうな)を通る場面をロングショットで捉えるというもの。僕は放送時このドラマをほとんど見ていないが、このシーンだけはかなりはっきりと憶えていた。もちろんテーマ音楽も。
 主人公は子連れの未婚の女性、あざみ(坂口良子)で、再生不良性貧血(ドラマでは「血液再生不全」と表現されている)のために余命半年の宣告を受ける。自分が死ぬ前に3歳の娘、のり(大岩紀)を何とかしなければならないと奔走する、という話。当初は主治医(平幹二朗)の勧めに従って養子に出すことを考えていたが、結局踏み切れず(このあたりはまだわかるが)、そのうち結婚相手を見つけ出しその男に娘を託そうということで、結構手当たり次第に周りの男にアプローチしていく。アプローチされた男たちは、あるいは地方に転居(同僚の2人、篠田三郎と大門正明)、あるいは破滅(近所の知り合い、岡田裕介と風間杜夫)、あるいは死亡(ご近所のヤクザ、柴俊夫)と結果的に人生ムチャクチャにされる。上司(中条静夫)などは、あざみが誘惑したせいで離婚の危機に陥ると来ている(その後どうなったかは描かれていない)。しかもお世話になっていた老夫妻(宇野重吉と北林谷栄)にまで、(結果的にだが)ひどい目に合わせ、博多に転居させることになる。周りの人間を(無意識にではあるだろうが)次々に不幸に陥れる主人公、あざみの行動にまったく共感できないため、途中から見るのがかなり苦痛になった。周りを不幸に陥れる女を描くことが脚本家の意図ではなく、おそらく「死に瀕してそれでも娘のことを思い何とかしようとする若い母親」というのがテーマではないかと思うが、結果的に稀代の悪女のドラマになってしまっている。そういうわけで、まったく見るに堪えないドラマだった(おかげで第1回を見てから最終回を見終わるまでに3年くらいかかった)。
b0189364_08520286.jpg 先ほども言ったようにタイトルバックが非常に印象的なドラマなんだが、面白かったのはそのパロディみたいな映像が最終回のエンディングロールで出てきた点である。あざみが死んで、のりを引き取ることになった男、ワタナベ(渡辺篤史)が、のりを連れて、タイトルバックと同じ踏切を通る(そしてそれをロングショットで追う)という、タイトルバックとかなり似たシーンが再現される。他の見所としては、宇野重吉と北林谷栄の名優老夫婦、范文雀の魅力、デビューしたばかりの風間杜夫などが挙げられる。范文雀については、『サインはV』のジュン・サンダースのイメージしかなかったんで昔からあまり「きれい」などという印象はなかったが、このドラマの彼女はおそろしく魅力的で、そりゃワタナベがその色香に迷うのも致し方ないというものだ。他に尾美としのりが第10話で子役で出ていたのも発見と言えるか。
b0189364_18470760.jpg このドラマでプロデューサーの堀川敦厚がジャニス・イアンの曲を採用したことから『岸辺のアルバム』でも「Will You Dance?」が使われることになったというのは、かつて山田太一が語っていた話だが(竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その2(ドキュメンタリー)』を参照)、このドラマでは、そのジャニス・イアンの曲が随所に流される。驚いたのはジャニス・イアンが唄う「I Love You Best」が2回ほど流れたことで、そもそもこの歌は、南沙織に提供した歌(邦題「哀しい妖精」)であり(竹林軒『シンシア版「妾の半生涯」』を参照)、ジャニス・イアンのアルバムには収録されていない。ジャニス自体歌っていないんじゃないかと思っていたが、録音したものがどこかにあるのだろうか。一生懸命探してみたがわからずじまいで、結局は謎だけが残った。
★★★

参考:
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その2(ドキュメンタリー)』
竹林軒『シンシア版「妾の半生涯」』
竹林軒出張所『母ちゃんのごはん(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プルパン あずき菓子はオモニの愛(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『時は立ちどまらない(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-11-19 07:35 | ドラマ
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