海に消えたプラスチック
(2015年・仏VIA DECOUVERTES)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
マイクロ・プラスチックは次の「温暖化」か?
適性に処理されないプラスチック・ゴミが海に大量に流れ出ていることは周知の事実で、現実にゴミ・ベルトと呼ばれる海域には大量にゴミが流れ込んでいる。しかし、地上のプラスチック・ゴミの生成量から考えると、このゴミ・ベルトで見られるゴミは余りにも少なすぎる。では、あるはずだが目に映らないゴミはどこに行ったのか。そういう視点で作られたドキュメンタリーがこれである。
まず考えられるのは、現時点で人間が容易にアクセスできない海底に大量に溜まっているという状況である。次に考えられるのは、プラスチック・ゴミが細かく砕けて(マイクロ・プラスチック)目に映りにくい形になって海中に漂っているという状況。どちらも可能性が高いが、特に後者については、ある程度状況が把握されるようになっている。つまりかなりの量のマイクロ・プラスチックがすでに存在し、またかなりの量のマイクロ・プラスチックが海洋生物の体内から検出されている。これが食物連鎖を通じて最終的にクジラやヒトの体内に蓄積されることになるのでは……というのがこのドキュメンタリーの主張である。
なおこのマイクロ・プラスチック、生物の体にどのような影響を及ぼすかまだ完全に判明しているわけではない。したがって、(地球温暖化と同様)ある時点で突然問題化して、人間が右往左往するというような状況も十分起こりうるというわけである。また海底に溜まっていると考えられる大量のプラスチックが今後問題化する可能性だって十分ある。とりあえず無駄なプラスチックは使わないようにする、プラスチック・ゴミは適正に処理する、ぐらいしか対策がないのがじれったいところである。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『"脱プラスチック"への挑戦(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『廃棄家電の悲しき行く末(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『グレタ ひとりぼっちの挑戦(ドキュメンタリー)』