小さな駅で降りる(2000年・テレビ東京)
演出:松原信吾
脚本:山田太一
音楽:久石譲
出演:中村雅俊、樋口可南子、堤真一、牧瀬里穂、奥貫薫、根岸季衣、柄本明、佐藤慶、山崎努、前田亜季
仕事が大変なら辞めたら?という
メッセージが新鮮 『せつない春』、
『奈良へ行くまで』に続くテレビ東京製作の山田ドラマ第3弾。これもテレビ東京らしくビジネスに関わる話で、テレビ東京製山田ドラマのひとつの特徴が確立されているようで大変よろしい。
社長直属の新しい部署に起用され、仕事に忙殺される管理職(中村雅俊)とその部下(堤真一)の話。この部署、若社長が単独で行ったリストラの責任を負わされるなど、負の役割を負って社内でうとまわれはじめているだけでなく、立ち上がってから何の実績も上げていないため、メンバーたちは何とか実績を上げようと躍起になっている。そのために彼らは残業も厭わず、仕事に追われまくる日々を送っている。そこにこの2人の妻たち(樋口可南子、牧瀬里穂)が動き出し、彼らを激務から解放させるために仕事を辞めさせようと画策するという展開になっていく。過労で潰れるくらいならさっぱり辞めてしまえという山田太一のメッセージが強く打ち出されたドラマである。内容を考えると、逆にテレビ東京らしくないとも言えるか。
もちろん現実的にそうは簡単に行かないもので、このドラマでもそのあたりで一悶着あるわけだが、会社人間にならずに人間らしく生きよう、「小さな駅で降り」たらどうだというメッセージは新鮮である。
このドラマも放送時見ているが、内容についてはほとんど憶えていなかった。ただ、男が牛に追われまくるスペインの祭りの映像に対して、樋口可南子が「こういうことをやるのは男だけよねぇ」とコメントするシーンははっきりと明確に憶えていた。お説ごもっともで、このドラマのテーマにも重なる部分である。
2000年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞
★★★☆参考:
竹林軒出張所『せつない春(ドラマ)』竹林軒出張所『奈良へ行くまで(ドラマ)』竹林軒出張所『香港明星迷(ドラマ)』竹林軒出張所『本当と嘘とテキーラ(ドラマ)』竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』竹林軒出張所『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』