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竹林軒出張所

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『役者なんかおやめなさい』(本)

役者なんかおやめなさい
84歳、日本を代表する名優が語る、60年余の舞台人生

仲代達矢著
サンポスト

仲代達矢の魅力が伝わるが
少々物足りない


b0189364_18430571.jpg この数カ月間、「日本映画専門チャンネル」で仲代達矢のインタビュー番組が1カ月に1本のペースで都合5回放送されたが(『仲代達矢の日本映画遺産』)、どれも内容が興味深かった上、仲代達矢の魅力が炸裂していた。あの番組を一冊にしましたというような本がこれで、内容は一部あの番組とかぶっている。中村錦之介と殴り合いの喧嘩をした話などはなかなか興味深い。もちろんあの番組のインタビューが全部盛り込まれているわけではなく(そもそもあの番組の書籍化ではないため)、あちらの番組でしか聞けないような話も多い(たとえば『切腹』の撮影中、夜飲み歩いていて明け方旅館に戻ったところ宿に入れてもらえず、路上で寝て一夜を過ごした話とか)。そのあたりをもっと引き出せたらもっと面白い本になっていただろうと思うが、それでも抑えるべきところは抑えている。
 幼少のみぎりから始まり、俳優座養成所時代、出演映画、無名塾について、そして現在と、これまでの半生を語る。仲代達矢の魅力もしっかり伝わってくる。ただ少しインタビュアー(坂梨直子って人)が前に出すぎである。仲代達矢の魅力を伝えるべき本であるにもかかわらず、坂梨直子の魅力も伝えたいという意向なのか。聞き手と話し手の発言が同じ並びで、しかも同じカッコ書きで紹介されているために、ところどころどちらの発言かわからなくなったりする。もう少し工夫があっても良かったのではないかと思う。
 仲代達矢の魅力を本で伝えようという意志は評価するし、内容もまずまずだが、作りについてはいろいろと問題が残った本と言える。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』
竹林軒出張所『仲代達矢 命と向き合う(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『切腹(映画)』
竹林軒出張所『肉弾(映画)』
竹林軒出張所『鍵(映画)』
竹林軒出張所『他人の顔(映画)』
竹林軒出張所『殺人狂時代(映画)』
竹林軒出張所『華麗なる一族(映画)』
竹林軒出張所『金環蝕(映画)』
竹林軒出張所『不毛地帯(映画)』
竹林軒出張所『吾輩は猫である(映画)』
竹林軒出張所『姿三四郎(映画)』
竹林軒出張所『二百三高地(映画)』
竹林軒出張所『上意討ち 拝領妻始末(映画)』

by chikurinken | 2017-08-24 07:25 |
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