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竹林軒出張所

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『カメラマン・サワダの戦争』(ドキュメンタリー)

カメラマン・サワダの戦争 〜5万カットのネガは何を語るか〜(1982年・NHK)
NHK総合 NHK特集

人生を駆け抜けた一人の男の軌跡

b0189364_21181994.jpg ベトナム戦争の報道写真で有名になったカメラマン、沢田教一のドキュメンタリー。1982年にNHK特集で放送されたもの。
 学生時代、個人的に報道カメラマンに興味を持ったことから、ロバート・キャパや一ノ瀬泰造などの本を読んでおり、沢田教一についても写真集(『泥まみれの死』)や青木富美子が書いた伝記(『ライカでグッドバイ』)を読んでいる。このドキュメンタリーもどこかで見たというよう記憶があるが、1982年の時点ではまだ沢田教一について僕は知らなかったはず。あるいは再放送を見たのかも知れない。
 この番組は、沢田の13回忌に、奥方の沢田サタさんが教一が戦死した場所(カンボジアの田舎)を訪れるというエピソードをメインに据え、沢田教一の生涯と仕事を追っていくというもの。
 沢田教一は、ベトナム時代、戦場で撮った写真をUPIベトナム支局に売りながら自分の写真を発表していた。報道写真は数年したらネガが処分されるらしいが、沢田は処分前に自らが引き取り、それをサタに送っていた。そのため、当時の他の報道写真家と比べ、ネガがかなり残っていて、サタの手元には5万カットあるらしい。そのネガを追うことで、沢田教一の戦場における足跡や、どのようなものに関心を示したか探る。そして彼の最大の関心事が、戦場における家族や子どもだったということで、実際こういった写真が非常に多いらしい。もっとも彼がピューリッツァー賞を受賞した『安全への逃避』にしても、戦争における家族を描いたもので、こういった点が沢田を他の報道カメラマンと違った存在に押し上げる要因にもなっている。
 沢田の生涯や沢田の写真の特徴を非常にうまくまとめたドキュメンタリーで、古典的な秀作として現在に残っている。DVDは出ていないが、今でもNHKアーカイブスであるいは見られるかも知れない(未確認。一部は見られる)。僕が今回見たのは、今年の6月に『あの日 あのとき あの番組〜NHKアーカイブス〜』という番組枠で再放送されたものである。報道写真家の石川文洋がゲストで、しかも沢田サタさんの今の姿まで映像で登場して(現在92歳!)、サービス精神満点の再放送であった。久々に沢田教一に興味が沸いたんで『泥まみれの死』と『ライカでグッドバイ』をもう一度読もうと思ったが書棚にはなかった。どうやら処分したようだ。僕自身、あの当時から随分日和ったものである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ベトナム戦争関連のドキュメンタリー3本』
竹林軒出張所『フルメタル・ジャケット(映画)』
竹林軒出張所『運命の一枚〜“戦場”写真 最大の謎に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『それでもなぜ戦場に行くのですか(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『写真は小さな声である(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『イラク戦争関連の本』
竹林軒出張所『サルバドル 遥かなる日々(映画)』

by chikurinken | 2017-08-20 07:17 | ドキュメンタリー
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