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竹林軒出張所

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『アンナ・カレーニナ』(映画)

アンナ・カレーニナ(1997年・英米)
監督:バーナード・ローズ
原作:レオ・トルストイ
脚本:バーナード・ローズ
音楽:ゲオルク・ショルティ
出演:ソフィー・マルソー、ショーン・ビーン、アルフレッド・モリナ、ミア・カーシュナー、ジェームズ・フォックス

『アンナ・カレーニナ』の決定版かも……

『アンナ・カレーニナ』(映画)_b0189364_22081212.jpg アメリカ製の『アンナ・カレーニナ』。そのためほとんどのシーンでは英語が話される。ただしところどころ(身分の低い人が語る場面など)ロシア語になる箇所がある。なぜだかわからない。ロシア語にするんなら全部ロシア語にしたら良いし、全編英語ならそれでも良いと思うが。
 主演はフランス人女優、ソフィー・マルソーで、ソフィーも英語をしゃべる。ソフィー・マルソーと言えば僕とも近い世代で、『ラ・ブーム』でデビューした頃もテレビで予告映像が流されていたりしたため、個人的には長い間興味の対象であった。ただ映画を見るのは今回が初めてである。若い頃はアイドル扱いであまりいい映画に出ていなかったため、僕の食指が動くような映画がなかったことが原因と思われる。この映画については、世評が割に高く、ソフィー・マルソーが演じるアンナ・カレーニナに興味があったため、今回見てみた。
 『アンナ・カレーニナ』は以前、ヴィヴィアン・リーが主演したもの(監督はジュリアン・デュヴィヴィエ)を見たが、あまり印象に残っていない。ストーリーも概ね忘れていて、ただの不倫話程度の記憶しかなかった。今回久々に『アンナ・カレーニナ』に接して、「ただの不倫話」ではないことは重々わかった。すまなかった、トルストイ。
 映画は、ロシアでロケが行われており、原作のイメージはかなり再現されているのではないかと思う。やたら登場人物が多いのはトルストイらしいが、メインのストーリーとあまり関係ないレヴィンとキティをさも主役であるような立ち位置に登場させていることには多少違和感を感じた。もっとも長編小説であれば、登場人物が多いことはむしろ有利に働くし、彼らの平凡な幸福が主題の柱であることは容易に想像できるんで、小説レベルではそれで良かったんだろうとは思う。逆に言えば、この映画、割合原作に忠実に作っていると言えるのかも知れない。
 ちょっとがっかりだったのは音楽で、チャイコフスキーやラフマニノフの音楽が全編使われていたこと。ロシアと言えばチャイコフスキーやラフマニノフというあまりにありきたりな発想がいただけない。恋愛で盛り上がるシーンが『悲愴』交響曲の第1楽章で、エンディング・ロールはヴァイオリン協奏曲と来る。月並みにも程があるってもんだ。ちなみに音楽担当は、指揮者のゲオルク・ショルティである。ショルティであることを考え合わせると、なるほどの選曲と言えなくもない。
 演出などは隅から隅まできっちり行われており、ソフィー・マルソーの演技もなかなか迫真的であった。ただ「アンナ・カレーニナ」という登場人物については、なんだか見通しが効かない。こういう行動をする人間がいても全然不自然ではないが、そうなっちゃいます?というような行動が多かったのも事実。でもまあ、全編通して退屈することなく見ることができるし、当時の風俗などもうまく再現されていて、よくできた映画と言えるんじゃないかと思う。『アンナ・カレーニナ』の決定版と言っても良いかも(他の映画をあまり見ていないので本当のところはよくわからないが)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ラ・ブーム(映画)』
竹林軒出張所『トルストイの家出(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『原作と映画の間』
竹林軒出張所『カラマーゾフの兄弟(映画)』
竹林軒出張所『チャタレイ夫人の恋人(ドラマ)』
竹林軒出張所『夏の嵐(映画)』
竹林軒出張所『スワンの恋(映画)』

by chikurinken | 2017-07-16 07:07 | 映画
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