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竹林軒出張所

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『春の一族』(1)〜(3)(ドラマ)

春の一族 (1)〜(3)(1993年・NHK)
演出:深町幸男
脚本:山田太一
音楽:福井崚
出演:緒形拳、十朱幸代、国生さゆり、中島唱子、浅野忠信、藤岡琢也、丘みつ子、天宮良、江戸家猫八、内海桂子、江口ともみ

お節介なキャラが巻き起こす波風

b0189364_20250369.jpg NHKの土曜ドラマの枠で放送された山田太一脚本のドラマ。演出は山田作品でお馴染みの深町幸男、出演も緒形拳、藤岡琢也、『ふぞろい』の中島唱子と常連組が中心。十朱幸代は珍しい感じがするが『あめりか物語』に出演経験あり。国生さゆりは、山田作品はこの1本だけだが、なかなか快演。浅野忠信は本格デビュー間もない頃で、不登校の高校生役。
 ストーリーは、よそよそしい他人同士が集まる環境に、1人の男が入っていって波風を立てていくという、山田ドラマでは割とよくあるパターンである。またその男が謎めいていて、しかも実は元々は相当な実力者だったというのも、山田ドラマの鉄板ネタである。山田ドラマにしては割合ありきたりなネタではあるが、もちろんドラマとしてはまったくありきたりではない。また登場人物たちが抱えているものも多様であるため、見ていても決してワンパターンというような印象は起こらない。毎度ながらよくできたドラマと感じるし、笑ったりいらだったりしながらドラマにのめり込んでしまう。
b0189364_20245839.jpg 東京、本郷にあるある古いアパートに、中年男、中井(緒形拳)が入居するところから話が始まる。このアパートには何人か住人がいるが、当然のごとく顔を合わせても話をしたりすることはない。登場人物たちが語るように「東京のアパートってそういうもの」だ。だが中井は積極的に他人に関わろうとし、考えようによってはお節介が過ぎるんだが、おかげで周囲に波風が立っていくというように展開していく。
 1回1時間半で全3話構成。第3話でかなりのどんでん返しがあるが、ストーリーの軸が変わることはない。そういう点でも、安定感があるよくできたストーリーである。この後タイトルに「一族」がつく作品が同じ枠で2本放送されるんで(『秋の一族』、『夏の一族』)この作品も放送当時評判が良かったことが推測される。どれも秀作ドラマだが「一族」というタイトルには少々違和感がある。個人的には『夏の一族』が一番のお奨めである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『秋の一族 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『夏の一族 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『春の惑星(ドラマ)』
竹林軒出張所『タクシー・サンバ (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』

(ちなみに)謎めいた登場人物が周囲に波風を起こす山田ドラマ
竹林軒出張所『深夜にようこそ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『星ひとつの夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『五年目のひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『ナイフの行方(ドラマ)』

お節介が過ぎるタイプの山田ドラマ
竹林軒出張所『鳥帰る(ドラマ)』
竹林軒出張所『この冬の恋(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-07-08 07:24 | ドラマ
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