クー・クラックス・クラン
白人至上主義結社KKKの正体
浜本隆三著
平凡社新書
KKKの出自と現代
アメリカの秘密結社、クー・クラックス・クランについて書かれた「日本ではじめての新書」。
クー・クラックス・クラン(KKK)は、アメリカの古いドラマでときどき目にする白装束の一団で、ドラマでは黒人や黒人に理解がある白人を拉致して暴行を加える(場合によっては殺人)集団として描かれ、アメリカ史の暗部を示す素材として取り上げられる。視聴者の方も、概ね恐怖の対象としてKKKを捉える。だがその実態は意外に知られていない。そこでそれを掘り下げて、彼らの真の姿に迫ろうという試み、それがこの本である。
KKKの活動時期は大きく、南北戦争直後(1860年代)、移民が増加した20世紀初頭(1920年代)、公民権運動が盛んだった時期(1960年代)の3期に分けられる。それぞれの時代に共通しているのが、それまで利益を受けていた多数派だった人々が既得権益が失われることをもっとも恐れた時期だということで、そのはけ口として、KKKのような活動が盛んになったというのが著者の分析である。一方でKKKは、集団として福祉活動を行っていたこともある(第二期)というんだから意外。また1920年代の第二期には、会員数が数百万単位まで増えていたらしいが、その裏にはネズミ講まがいの会員獲得作戦があったという(その後会員数は激減)。こういうことを考えるとKKKは単なるテロリスト集団とも言えない側面もあるが、それはどこの暴力集団でも共通かも知れない。
今の時代も「それまで利益を受けていた多数派だった人々が既得権益が失われ」つつある時代で、そのためか排外主義や保守主義が世界中に蔓延してきている。そういう意味ではKKKが台頭してきた時代と共通性がある(日本でも差別的な言動が多くなっている)。KKKとアメリカの歴史を振り返ることで、この時代の社会の動きを予想しそれに対処できるようにしたいというのが本書の目的らしいが、そのあたりはうまく達成できていると思う。しかしやはりKKKは遠い世界の話であり、読んでいてあまり熱くなれずむしろ醒めてしまう自分がいる。どことなく学術論文的な記述のようにも感じるが、それも物足りなさに拍車をかけているのか。読みやすくはあるが、さして満足感を感じない本というのが僕の印象であった(あくまでも個人的な感想です)。
★★★参考:
竹林軒出張所『人種隔離バスへの抵抗(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『グローリー 明日への行進(映画)』竹林軒出張所『キング牧師とワシントン大行進(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ミシシッピへの旅(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『プレイス・イン・ザ・ハート(映画)』竹林軒出張所『ルーツ (5)〜(6)(ドラマ)』竹林軒出張所『ヘイトスピーチと対抗報道(本)』竹林軒出張所『“銃社会”アメリカの分断(ドキュメンタリー)』