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竹林軒出張所

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『家へおいでよ』(1)〜(6)(ドラマ)

家へおいでよ (1)〜(6)(1996年・NHK)
演出:富沢正幸
脚本:山田太一
音楽:ルシア塩満、都留教博
出演:杉浦直樹、鈴木砂羽、筒井道隆、岸田今日子、小橋めぐみ、マルティン・ラミレス、角野卓造

無駄に不気味さが漂うドラマ

『家へおいでよ』(1)〜(6)(ドラマ)_b0189364_1828166.jpg 山田太一脚本のドラマ。親から引き継いだ洋館に1人で住んでいる大学教授が若者たちを自宅に格安で住まわせるという、ヴィスコンティの『家族の肖像』を思わせるストーリー。ただしこの教授は学校で女子学生に乱暴したという噂がたてられており、他の若者もいろいろワケありである。彼らがいろいろ付いたり離れたり、面倒を起こしたりそれを解決したりというさまざまな問題を起こしながら、成長していくというドラマである。
 序盤、住まわせてもらう若者がわがままで厚かましいなど、見ていてかなり不快になる要素がある。このドラマは元々放送時に見ているが、主役の板倉かやの(鈴木砂羽)や土屋礼子(小橋めぐみ)が不気味だった記憶がある。なんせ鈴木砂羽は、少し前の映画『愛の新世界』で女王様を演っていたし、しかもこの映画でもなんだか裏があるような役だったし、ちょっとミスキャストだったような気がする。それに土屋礼子も何かを企んでいるようなふうが見えて、ドラマの本来の意図と違った印象を与えていたように思う。そういった点がかなりのマイナスである。
 ただ杉浦直樹や岸田今日子、途中少しだけ出てくる角野卓造などのベテラン俳優の演技が秀逸で、そういう点で見所は多い。岸田今日子が「私が老婆ならあなたは死体よって言ってやった」というセリフは鬼気迫っていて凄みがあるし、角野卓造が汗だくで地団駄踏むシーンも大変印象的である(この2つのシーンははっきり記憶に残っていた)。
 なんだか無駄に不気味なキャラクターやシーンが多かったが、終わりの方は非常に気持ちの良い終わり方をする。例によってほとんどのキャストが最後に出そろうという大団円で終わるのも山田ドラマらしい。ルシア塩満のアルパによるテーマ曲やタイトルバックの映像も印象的である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その2(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『その時あの時の今 私記テレビドラマ50年(本)』
竹林軒出張所『愛の新世界(映画)』
竹林軒出張所『家族の肖像(映画)』

by chikurinken | 2017-02-09 07:10 | ドラマ
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