日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部
(1979年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
出演:八千草薫、池部良、下元勉、桜むつ子、大竹しのぶ、佐々木すみ江、三田村邦彦
女は無神経な言葉で男を傷つける アラスカのアンカレッジに住んでいる中年女性、サエコ(八千草薫)が、アンカレッジ空港でかつての恋人、ゴロウ(池辺良)を見かけ、それをきっかけに再び交流が始まるというストーリー。ただの恋愛ドラマかと思っていたら、2人の過去に確執があったという話。
第一部、第二部の二部構成になっていて両方合わせると2時間枠になるため、ちょっとした映画と考えることもできる。第一部はほとんどアンカレッジが舞台、第二部はほとんど小樽が舞台になるなど、同じ倉本作品の
『ライスカレー』を思わせるような構成である。
第二部では舞台が小樽に移り、ゴロウがサエコに傷つけられた過去が明らかになる。同時にゴロウの娘(大竹しのぶ)と恋人との関係にも似たような関係性が出てきて、つまるところ女の気安い無神経な言葉がどれほど男を傷つけるかというテーマ(だと思う)に収束していくという仕掛けである。他にも仕事仕事で家族を顧みない、しかも上司の目ばかりを気にする当時の日本人サラリーマンの姿があぶり出されたりもする。
かつてのメロドラマにつきもののすれ違いもあちこちにあって、恋愛ドラマとしてもそれなりによくできている。バックに流れるブラームスの交響曲3番第3楽章(映画『さよならをもう一度』で使用されたもの)も雰囲気を盛り上げている。偶然に頼り過ぎているのがドラマとしては少々難。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『夕陽をあびて (1)〜(3)(ドラマ)』