日曜劇場 聖夜(1973年・北海道放送)
演出:長沼修
脚本:倉本聰
出演:小倉一郎、仁科明子、伴淳三郎、金田龍之介、鶴間エリ
リアリズムドラマ『カード泥棒』 札幌が舞台の『東芝日曜劇場』で、脚本は倉本聰。倉本聰が大河ドラマを書く直前で絶好調の時期だったせいか、内容は非常に意欲的である。
クリスマスの日、恋人(仁科明子)と1日デートしようと思って休みを取っていた若者(小倉一郎)が、急な仕事を無理矢理入れられてしまい、それをきっかけにして歯車が少しずつ狂っていくという話。恋人と喧嘩になった上、あげくに警察のお世話になってしまうというような展開で、ネオレアリズモ映画の『自転車泥棒』を思わせる。そのためちょっと見ているのがつらくなるが、最後はなかなか素敵な終わり方をするので、見ている方も救われる気がする。
演出も適度な溜めがあって見る方をハラハラさせるが、それがいやらしくなく、非常に良い効果を出している。キャスティングも豪華で、金田龍之介に加え伴淳まで出ているが、伴淳については登場する必然性があったかよく分からない。なんせ警察署でくだを巻く酔っぱらいの役で、ストーリーの流れにはまったく関係ない。主演の小倉一郎は
『それぞれの秋』を思わせるような頼りないキャラクターで、こういう役をやらせたら彼以外にないという役。若い仁科明子も魅力的である。1時間ドラマとしてはかなり充実している方で、こういうドラマを見ると倉本聰はやはりすごいなと思う。
★★★☆参考:
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