トットてれび (1)〜(5)(2016年・NHK)
演出:井上剛、川上剛、津田温子
原作:黒柳徹子
脚本:中園ミホ
出演:満島ひかり、中村獅童、錦戸亮、ミムラ、濱田岳
中身がない再現ドラマ
テレビ創生期を描いたドラマで、原作は黒柳徹子の『トットチャンネル』と『トットひとり』。
テレビ創生期の話で、しかも当時のテレビ人を今の役者が再現するという話を聞いていたため、非常に期待して見たが、残念ながらただの再現ドラマになってしまった。著しく内容に乏しく、ただ単にいろいろなエピソードを辿っただけである。こういうものは連続ドラマとしては成立しないと思うんだが、しれーっと毎回放送していてしかもそれなりの反響があるというんだから、もうテレビドラマの周辺状況は末期的と言ってよかろう。
主人公の黒柳徹子を演じる満島ひかりも、黒柳徹子のしゃべり方を過剰に意識しているのか、話し方が不自然で鼻に付く。唯一の見所であるテレビ撮影の再現部分では、渥美清を中村獅童、坂本九を錦戸亮、向田邦子をミムラ、沢村貞子を岸本加世子、森繁久彌を吉田鋼太郎が演じているが、どの登場人物も中身が描かれないため、実際のところうまいも下手もなく、「再現ドラマ」で終始してしまっている(どのキャストもあまり合っていると思えないし)。ストーリーもエピソードをなぞっただけで、そのエピソード間のつながりがぎこちないため、見るに堪えない。素人が書いた脚本かと思ってしまう。こういうものは、
『爆報!THEフライデー』みたいなバラエティ番組でやるべきもので、ドラマ枠をわざわざ使って放送するようなものではない。こんな話題性だけのいい加減なドラマ、そろそろ止めにした方が良いんじゃないかと思う。少なくとも公共放送で多大な予算をかけて作るような代物ではない。
★★参考:
竹林軒出張所『私が愛したウルトラセブン(ドラマ)』竹林軒出張所『アイドル誕生 輝け昭和歌謡(ドラマ)』竹林軒出張所『植木等とのぼせもん (1)〜(7)(ドラマ)』竹林軒出張所『蝶の山脈 〜安曇野を愛した男〜(ドラマ)』竹林軒出張所『びんぼう一代 五代目古今亭志ん生(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『俺たちに明日はない(映画)』