FIFA腐敗の全貌に迫る 〜ブラッターと私の15年戦争〜
(2015年・英BBC)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
巨大組織に噛みついたピラニア記者の足跡
FIFA会長、ゼップ・ブラッターとその取り巻きの幹部の汚職を告発してきたイギリス人記者ジェニングスにスポットを当てた告発ドキュメンタリー。
FIFAの幹部がFBIに逮捕されたことは記憶に新しく、ブラッターもいずれ断罪されるんだろうが、司法が動くきっかけになったのがジェニングスが関わったBBCの番組である(そうだ)。
BBCは、前回のワールドカップ開催地決定の際も、直前にイングランド・サッカー協会の不正を告発する番組を作ったという。結果的に開催候補地として立候補していたイングランドが開催地選出から漏れたという経緯がある。自国であろうとサッカーの不正があれば告発するという態度はご立派。
ともかくこれまでFIFAの不正を執拗に追及してきたのがジェニングスとBBCで、このドキュメンタリーでも同様に、ブラッターだけでなく、その前のFIFA会長だったアベランジェについても、不正行為(やマフィアとの関わり)を追求していく。他の幹部たちが私腹を肥やしている実態も明らかにされ、FIFAがどうしようもない組織に成り下がっていることが暴かれる。ジェニングスによればFIFAはマフィアみたいなものであるらしい。
番組では、あのプラティニもジェニングスのインタビューに快く答え、内部から改革していくと訴えていたが、プラティニ自身が汚職に関わっていたことが後に明らかになる。風通しの悪い利益団体は内部から腐敗していくということが改めてよく分かるドキュメンタリーであった。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『巨大スタジアムは誰のため?(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ドーピング 暴かれた実態(ドキュメンタリー)』