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竹林軒出張所

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『マイセン 幻の磁器の城』(ドキュメンタリー)

マイセン 幻の磁器の城 〜アウグスト2世の尽きせぬ欲望〜
(2004年・NHK)
NHK-BSプレミアム ハイビジョン特集

西洋の焼き物の学習素材

『マイセン 幻の磁器の城』(ドキュメンタリー)_b0189364_81572.jpg ヨーロッパを代表する磁器と言えばマイセン。元々は磁器マニアのザクセン公アウグスト2世(1670年〜1733年)が、東洋の磁器を自前で作りたいという発想から始めた産業である。そのアウグスト2世と、マイセン磁器を実現した3人の職人たちの物語。
 アウグスト2世は、ライバルであるプロイセン公の城で初めて東洋の磁器を目にしてから、自らも磁器コレクターになる。やがて磁器を自らの手で作ることで産業にできないかと考え、錬金術師のベトガーを幽閉し、白磁製造の研究をさせた。数年後白磁は完成したが、幽閉されていたベトガーは酒に溺れやがて死去する。
 次にアウグスト王が着目したのは色絵の技術で、ウィーンからやって来たヘロルトという絵師に磁器の色絵付けについて研究させる。ヘロルトは染付のみならず、柿右衛門の赤絵の再現まで試み、磁器上で16色を再現することに成功。アウグスト王は大変満足し、ヘロルトを磁器製造の責任者に任命する。
『マイセン 幻の磁器の城』(ドキュメンタリー)_b0189364_8152677.jpg 同じ頃、彫刻師のケンドラーを雇い入れ、磁器による立体造形の研究をさせる。そしてこのケンドラーも立体造形を実現し、作れないものはないと言うまでになる。こうして現在のマイセン磁器の技術は確立されることになる。
 アウグストはさらに磁器でできた屋敷を作ることも夢見ており「日本宮殿」と名付けていたが、実現を見る前に死去。その後を継いだアウグスト3世はプロイセンとの抗争に敗れ、マイセンの技術もそしてアウグスト2世のコレクションもプロイセンに流出することになった。当然「日本宮殿」も実現しなかった。
 こういった歴史を一部再現ドラマを交えながら紹介していく。再現ドラマ部分でそれぞれの職人を演じるのは、現在のマイセン工房の職人たちで、あわせて現在の彼らの技術も紹介される。そのため、マイセン、ひいてはヨーロッパの磁器を知る上で恰好の学習素材になっている。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『柿右衛門 はてしなき旅路(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『曜変天目を現在に(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『幻の名碗 曜変天目に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『女王イサベル 終の楽園(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ノイシュヴァンシュタイン城(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2016-01-05 08:16 | ドキュメンタリー
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