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竹林軒出張所

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『絶滅へのギャンブル』(ドキュメンタリー)

絶滅へのギャンブル 〜アフリカ野生動物の危機〜
(2015年・独a&o buero filmproduktion/加Real to Reel Productions)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

ゾウさんが憐れです
でもサイさんはもっと憐れです……


『絶滅へのギャンブル』(ドキュメンタリー)_b0189364_884776.jpg アフリカで象やサイが乱獲されている現状を訴えるドキュメンタリー。
 もちろんこういった動物たちは当事国政府によって保護されているが、密猟が後を絶たない。当然密猟者の目的は象牙やサイの角である。密猟する側も射殺されるリスクはあるが、相当な金になるため、リスクを犯してでも実行する。密猟された象牙やサイの角は、いまだに中国やベトナムをはじめとするアジアの国々(日本も含まれる)で高額で取引される。にわか成金がステータス・シンボルとしてこういったものを欲しがるためである。こうして需要が増えると、供給側もそれに対応するということで、結果的に密猟はここ数年増加傾向にあり、野生動物の絶滅さえ心配される自体に陥っているという。中には在庫をストックしておき、絶滅したときに値段が跳ね上がるのを心待ちにしている不心得者までいるという。
 結局、こういった負の連鎖を断ち切るには、需要を断つしかなく、そのためには高値で流通している国で違法取引(ひいては象牙やサイの角の売買)を禁止する措置が必要というのがこのドキュメンタリーの主張である。
 このドキュメンタリーで映し出される象やサイの死体の映像は痛ましく、問題についてよく理解できるが、少々間延びした感じがあったのは残念。それに今回の放送では、最初にパトリック・ハーランが出て、怒りに満ちた表情でこのドキュメンタリーについて解説していたが、その際、ドキュメンタリーのポイントが1、2分でほとんど語られていたため、番組自体の新鮮さが損なわれたことも付記しておく。なんだってこういう演出にしたのかまったく理解できない。最初に解説めいたものを入れたいんなら、中身についてあまり語らないのがマナーではないかな。どうしてもって言うんだったら最後に入れてくれ。
★★★

参考:
竹林軒出張所『アフリカ争奪戦 富を操る多国籍企業(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『甘いチョコレート 苦い現実(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『密猟者とレンジャー(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2015-12-11 08:09 | ドキュメンタリー
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