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竹林軒出張所

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『廃棄家電の悲しき行く末』(ドキュメンタリー)

廃棄家電の悲しき行く末(2014年・西Media 3.14/仏Yuzu Productions)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

生活を見直すことが第一歩

b0189364_913466.jpg 先進国で廃棄されたゴミ家電やゴミ・コンピュータが、まわりまわってアフリカの途上国に廃棄物として輸出される現状を追ったドキュメンタリー。
 ヨーロッパの多くの国にも日本と同じように、家電などの大型ゴミを回収して、それをきちんと分解処理し、再利用できるもの・再利用できないものを分別してリサイクルするというシステムがある(その費用は販売時に上乗せされている)。しかし実際、このシステムに従って処理される大型ゴミは意外に少なく、多くは正式な業者の網をすり抜けてあちこちに分散していく。そしてこの処理費用(あらかじめ消費者から聴取されていて、処理業者に渡るべきもの)だけを懐に入れ、処理をおろそかにして、適当に野積みにしたり、あるいは第三国(途上国)に輸出したりするなどという悪徳業者も多いらしい(このあたりは日本でも同様)。その結果、ゴミが途上国に渡り、その国の環境が汚染されることになる。こういったゴミには人体や環境に悪い成分が多数含まれているのである。
 このような廃棄製品は中国にも大量に渡っており、例によってかなりずさんでいい加減な処理が行われている。これも中国の常だが、当然のように作業員は有毒物質に曝されており、しかも処理方法もデタラメ(その環境は目を覆わんばかりであった)。中には基板から使えそうな部品をまとめて取り出して、この取り出した部品を新品部品として売るなどというしたたかな業者もある。結果的にこういったガラクタ部品が、まわりまわって生産国で作られる新品製品に使われることになり、製品の不可解な事故(爆発事故も含む)の原因になるというんだから怖い。最終的に先進国にしっぺ返しされることになるわけで、してみれば先進国の所業は天につばするようなものと言える。
 このような現状を前にすると、こういった違法なゴミ・ルートを取り締まるべきという議論が当然出てくるが、実際にこれをチェックしようとすると大変な労力と費用がかかるため、現実的ではないんだそうだ。そういうわけで、目下のところ、状況を改善する手立てがないというのだ。
 そこで、ゴミを生み出す消費者の側が、今までのような大量購入、大量廃棄のライフ・スタイルをあらためて、できる限り修理して使い続ける、そして極力ゴミを出さないことが重要なんではないかという主張になる。こういう大量消費がもっとも一般的に行われているのがアメリカであるが、一方でアメリカには、こういう生活を見直すべく活動を行っている組織もある。この番組で紹介されていたiFixItなどがその例で、iFixItは家電の解体の仕方をネットで紹介したり、代替部品を長期に渡って販売したりという活動をしている(僕自身もパソコンの修理の際に利用したことがある)。ともかく、自分の足下から生活を見直すことこそ肝要というのがこのドキュメンタリーの趣旨である。
 こういう活動ももちろん大切だが、本来はメーカー側がしっかり対応するのが筋である。たとえばコンピュータは近年ますます解体が難しくなって修理が困難になっているし、修理部品も5年程度しか保管しないという態度を取っているメーカーが多い。5年以上経った製品については修理が断られることもよくある。早い話がメーカー側の意識が低すぎるということだ。それは消費者の方の問題でもあり、消費者がメーカーにきっちり要求していき、消費の態度を変えていかなければ、メーカー側も変わるまいと思う。結局は、この番組の主張の通り、やはり消費者の意識こそが大切ということになるのか。
2015年イタリア賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『365日のシンプルライフ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『電球をめぐる陰謀(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『模倣品社会 〜命を脅かすコピー商品〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『その後のキーボード問題 -- とりあえず最終章 --』
by chikurinken | 2015-11-17 09:14 | ドキュメンタリー
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