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竹林軒出張所

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『ISからの脱出』(ドキュメンタリー)

ISからの脱出(2015年・英ITN Production、Ronachan Films)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

世界中に不幸をまき散らす連中

b0189364_849269.jpg 最近日本ではあまり話題に上らなくなってきた「イスラム国」(IS)だが(数日前にこう書いたが、今また妙な事件を起こして注目を集めている)、いまだに健在で、しかも相変わらず傍若無人な振る舞いに及んでいるようだ。今回は、IS内で女性がどのように扱われているかを告発するドキュメンタリーである。
 ISが支配した町では、女性は三重のベールをかぶるよう強制され、しかも外出するときは必ず身内の男が付き添わなければならないとされる。これに反すると、というより支配層の男に一方的にこれに反していると見なされると、叱責や暴力、ひどい場合には処刑される。この番組でも、不貞を働いたという嫌疑で処刑というより私刑された女性の隠し撮り映像が出ていたが、裁判が行われた形跡もなく、偉そうな男が一方的にけん責して一方的に処刑するという理不尽きわまりないシーンである。これがISだと言えるような象徴的なシーンである。
 もっともこういう扱いを受けるのはイスラム教徒の女性であり、異教徒のクルド人ということになると、イスラム教徒の女性でさえ比較的マシと思えるほどの扱いで、早い話が性奴隷として売買されるのである。
 「オレは青い目の女が良い、グフグフ」みたいなことを言っているIS兵士が出てきたり(隠し撮り映像)して気味悪いったらないが、中には一晩で1人+6人+12人にレイプされたという女性までインタビューで登場する。この女性、命からがらIS支配地から逃げてきたんだが、いまだにトラウマで苦しめられているらしく、インタビュー途中で卒倒してしまう。そりゃそうだろう。
 現在、ISによってかなり多くの女性が拉致、誘拐されているらしく、おそらく性奴隷にする目的なんだろうが、これが現代世界なのか目を疑うほどである。一方で何とか、こういった女性を奪還しようという運動もIS支配領域、支配域外で行われていて、数十人単位ではあるが、支配域から逃れることができる女性もいる。彼らの口からISの実態が暴かれることになるが、もちろんこういう運動に関わっている人は命がけでいつISに殺されるかわかったもんじゃない。このような実態を描いていくドキュメンタリーがこの番組である。
 クルド人女性自身、現在ISと最前線で闘っているらしいが(竹林軒出張所『“天国には行かせない” クルド人女性部隊(ドキュメンタリー)』参照)、彼ら(クルド人)が闘っている相手が、倫理を欠いた野獣のような人間であることがよくわかる。たとえ女性に殺されなくても(IS内では女性に殺されると天国に行けなくなるとされている)、こいつらは天国には行けないんじゃないかという所業の数々である。いずれ「神」により天罰が下されるだろう。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『“天国には行かせない” クルド人女性部隊(ドキュメンタリー)』
竹林軒『圧倒的な迫力、アフガン版ネオリアリズモ』
竹林軒出張所『タリバンに売られた娘(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『IS 狂気の内幕(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『追跡「イスラム国」(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『過激派組織ISの闇(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“イスラミック ステート”はなぜ台頭したのか(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『イスラーム国の衝撃(本)』
竹林軒出張所『イスラム国 テロリストが国家をつくる時(本)』
by chikurinken | 2015-11-16 08:49 | ドキュメンタリー
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