鯉昇れ、焦土の空へ(2014年・NHK広島)
演出:森義隆
脚本:ノゾエ征爾
出演:イッセー尾形、富田靖子、岡田義徳、大和田伸也
広島球団は創立当初からビンボーだった
被曝70年ということで広島の復興をテーマに作られたNHK広島放送局製作のドラマ。広島カープの創生期を描くドラマで、広島カープの初代監督、石本秀一をイッセー尾形が演じる。
創生期から超貧乏球団で、選手の給料の遅配どころか、選手の食事さえままならない状態で、常時解散の危機に見舞われるが、市民の支援で存続したという話を、脚色を交えながらドラマにしたものがこれ。市民の支援といっても、中には借金をしながら球団に合宿所を提供する「御幸荘」の女将(富田靖子)などというケースまで出てきて、ホンマかいなと思うような話も結構ある。ドキュメンタリー・ドラマと名うっているんで、細かい部分はともかく大筋は事実なんだろうが、小説よりも奇なりという世界である。ドラマには恰好の素材で、なぜ今までこの手のドラマがなかったか不思議なくらいと言ったら大げさか。
カープが広島の復興のシンボルとして市民をいかに勇気づけたか、いかに市民の身近なものとしてあり続けたかがよくわかり、カープに興味のない人でもカープに親近感を持つこと請け合い。市民ビンボー球団の模範と言えるカープ、今でもあまり金をかけられないようだが、金満球団と真正面から渡り合っている姿はなかなか良いものである。広島県以外にファンがあちこちに散らばっているのも頷けるというものだ。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『鯉のぼる国 ドミニカ(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『一番電車が走った(ドラマ)』竹林軒出張所『帽子(ドラマ)』竹林軒出張所『火の魚(ドラマ) 』竹林軒出張所『無垢の島(ドラマ)』竹林軒出張所『命のあしあと(ドラマ)』竹林軒出張所『“くたばれ” 坊っちゃん(ドラマ)』竹林軒出張所『ラジカセ(ドラマ)』竹林軒出張所『モチベーション下がる……』