データに溺れて…(2015年・加Josh Freed Productions)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
あふれるデータは薬か毒か
「データに溺れて…(原題:Deluged by Data)」というタイトルから、必要以上にデータがあふれる現代社会に警鐘を鳴らすドキュメンタリーであることは容易に想像が付くが、「データをあふれさせること」に快感を持っている人や、将来性を感じている人なども結構登場する。
そのため途中まで、製作者は「あふれるデータ」に肯定的な態度なのかと思ってしまうほど。たとえばウェアラブル端末で身体のいろいろなデータを収集して、これが自分の生活と未来を明るくすると主張する人々の集団なんかも出てくる。普通に考えれば悪い冗談なんだが、見ようによってはなんだかこれが真実であるかのように見えてくるんで恐ろしい。
もちろん、データがあふれすぎて困っている人の事例も出てくるし、「デジタル・デトックス」(ネット断食道場)などというものまで紹介される。このデジタル・デトックスは、参加者(多くはIT関連企業に勤める人々)が数日間ネットを一切使わず、完全なアナログ生活を送ることでネット依存を解消しようとするというような集まりなんだが、これもなんだか随分極端な方に行っちゃったなという感じがする。ただ個人的には、ツイッターやSNSなどについては壮大な無駄なような気がしているわけで、そういう意味でも情報過多やネット依存は、その問題点をもっともっと追求してほしい素材ではある。
僕自身も、少し自分とネットとの関わり方を見直さなければなるまいと考えるきっかけになったんだが、その点で面白い問題提起だったと言うこともできる。ただし全体的には、雑誌的で内容の掘り下げが浅い印象もある。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『スマホ脳(本)』竹林軒出張所『スマホ依存から脳を守る(本)』竹林軒出張所『脱ネット・スマホ中毒(本)』竹林軒出張所『スマホ断ち(本)』竹林軒出張所『“幸せ”に支配されるSNSの若者たち(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『#フォロー・ミー(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『生成AIの正体(ドキュメンタリー)』