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竹林軒出張所

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『私が愛する日本人へ』(ドキュメンタリー)

私が愛する日本人へ 〜ドナルド・キーン 文豪との70年〜(2015年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

ドナルド・キーンが見た日本文学の魅力

b0189364_74637.jpg 日本文学者のドナルド・キーンを特集したドキュメンタリー。半分くらいはドラマ仕立てになっており、キーンを川平慈英が演じる。脇役としてパトリック・ハーラン(パックン:こういう番組ではもはや常連)、元アイドルの南野陽子、斉藤由貴が登場する。
 テーマとなるのは、キーン氏が感じる日本文学/日本の魅力、キーン氏と文豪たちとの交流である。特に文豪たちとの交流については大変興味深く、実際、かなり多くの戦後日本文学はキーン氏が翻訳して海外に紹介しているわけで、日本文学界にとってその功績は計り知れない。川端康成がノーベル賞を受賞したときも、事前にノーベル財団から、ノーベル賞候補として適切な日本人作家を勧めてくれるよう依頼があったということらしい。これに対してキーン氏は「第1位、谷崎潤一郎、第2位、川端康成、第3位、三島由紀夫」というふうに推薦したという。ただしその後大谷崎が死去したために、川端康成がノーベル賞を受賞することになった。言ってみればキーン氏の意向がノーベル文学賞に直接反映したということになる。ただしそこはキーン氏、何でもこの順位は年功序列だったということで、いかにも日本的という選び方である。
 他にも、戦争中日本の兵士の手帖に書かれた日記風の記述に触れて感動した話や、朝日新聞での連載「百代の過客」での執筆時のいきさつについても紹介されていて、内容的に薄めではあるが網羅的であり、キーン氏について広く理解できるようになっている。キーン氏によると、日本人は、自分をしっかり持った上で周りにむやみに流されず、伝統を大切にしながら生きるべきということである。まったくお説ごもっとも。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ドナルド・キーン わたしの日本語修行(本)』
竹林軒出張所『ドナルド・キーン自伝(本)』
竹林軒出張所『日本人の美意識(本)』
竹林軒出張所『百代の過客(本)』
竹林軒出張所『百代の過客〈続〉(本)』

by chikurinken | 2015-10-23 07:46 | ドキュメンタリー
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