ちゃんぽん食べたか(2015年・NHK)
演出:清水一彦、川野秀昭
原作:さだまさし
脚本:尾崎将也
出演:菅田将暉、本郷奏多、間宮祥太朗、泉澤祐希、森川葵、豊原功補、山西惇、岡田義徳、中村優子、阿南健治、熊谷真実、西田尚美、遠藤憲一
『かすていら』の続編
『精霊流し』ともエピソードが重複

さだまさしの自伝的小説『ちゃんぽん食べたかっ!』のドラマ化作品。
2013年に放送された
『かすていら』の続編で、キャストはかなりの部分で共通している。また回想シーンでも『かすていら』の映像がたびたび使用されている。
話は、ヴァイオリン修行のために長崎から上京して一人暮らししていた佐野雅志が高校に入るところから始まる。高校での生活、ヴァイオリンの挫折、先の見えない将来、友人たちとの交流などが描かれる一種の青春記である。内容は、かつてNHKで放送されたドラマ版の『精霊流し』ともかなり共通しており同じエピソードが出てくる。『ちゃんぽん食べたかっ!』の原作は読んでいないが、このドラマから推測すると、小説の
『精霊流し』とかなり共通しているんじゃないか、要は使い回しではないかという感がなきにしもあらず。とは言っても、明朗な青春記として非常によくできたドラマに仕上がっている。
『かすていら』の映像を使い回すのも実に秀逸なアイデアで、あのドラマを見た視聴者にとっては文字通りの回想シーンになる。それに前のドラマで主人公を演じた少年(大八木凱斗)が、たびたび主人公の前に現れる中学生時代の自分として登場するのも面白いアイデアである。
背景で流れる音楽も時代を感じさせるもので、ノスタルジーを感じさせる。最終回で流れたグレープの「追伸」が特に良い。『精霊流し』で描かれていた従兄弟とのエピソードは一切出てこないため、歌の「精霊流し」は最後まで流れなかった。ただこういう見切り方は逆に良かったとも思う。タイトルバックに映される写真もノスタルジックで良い。
まあしかし、あらためてドラマ版の『精霊流し』を見たいものであるよなあと感じる。NHKは、さだドラマをこんなに何度も作ってるんだから、再放送するなりDVDを出すなりしたら良さそうなものだが、何か引っかかっている要素でもあるのだろうか。わからん。
★★★★
参考:
竹林軒出張所『かすていら (1)〜(5)(ドラマ)』
竹林軒出張所『精霊流し(本)』
竹林軒出張所『精霊流し(映画)』
竹林軒出張所『眉山(映画)』
竹林軒出張所『アントキノイノチ(映画)』