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竹林軒出張所

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『ベン・ハー』(映画)

ベン・ハー(1959年・米)
監督:ウィリアム・ワイラー
原作:ルー・ウォーレス
脚本:カール・タンバーグ、クリストファー・フライ、ゴア・ヴィダル
撮影:ロバート・L・サーティース
音楽:ミクロス・ローザ
美術:ウィリアム・ホーニング、エドワード・カーファグノ
出演:チャールトン・ヘストン、スティーヴン・ボイド、ジャック・ホーキンス、ヒュー・グリフィス、ハイヤ・ハラリート、マーサ・スコット、キャシー・オドネル

ハリウッド映画の1つの頂点

b0189364_8503100.jpg ハリウッド映画を代表する超大作映画。全編3時間半を超え、序曲や間奏曲まで付いている。「オペラか!」とツッコミを入れたくなるところだが、内容の壮大さはオペラをはるかに凌ぐ。音楽も壮大だが、美術や衣装も目を瞠るものがある。ハリウッド映画の1つの頂点と言える。
 舞台は紀元前後で、ユダヤの王子ベン・ハーの数奇な運命がストーリーの中心になるが、それにイエス・キリストの物語が絡んでくる。よく練られたストーリーと言える。原作は、19世紀末にアメリカの軍人、ルー・ウォーレスが書いた同名小説で、発表当時からベストセラーになった。やがて映画の時代が来ると1907年に15分の映画が作られ、1925年にはかなりの資金を注ぎ込んだ大作映画(サイレントだが)が作られた。1959年版は3回目の映画化ということになる。
 実は今回見るのは2回目で、前回見たのは10年ほど前だが、そのときは25年版のサイレント映画の直後に見た。25年版は、(あの)レースのシーンは確かにすごいが、それ以外は多分に芝居がかっており、今見るとちょっと退屈してしまう。その後見たのが59年版だったので、同じ話がこれだけ活き活きとしたストーリーになるのかと感心した憶えがある。その間の35年の映画の進歩を思い知らされた格好になった。とは言え、内容についてはこれもレースのシーン以外はあまり記憶になかった。逆に考えると、それくらい「あの」レースのシーンは印象に残るものである。
 舞台になるのがローマ帝国が支配するエルサレムということで、ローマ帝国の時代の風俗が描かれる。どの程度正確に再現されているかはわからないが、よく再現できているように見受けられる。ローマのガレー船も再現されており、こういうものの再現はうならされる。ただしこの映画の海戦シーンは模型を使ったもので、波の大きさが気になると言えば気になる。前の映画(25年版)のときは実際に船の模型を浮かべて撮影したらしいが、撮影用の火が帆に燃え移り死傷者まで出たという。このあたりは、DVDに収録されていたメイキング映像で紹介されていたが、何でも25年版では、撮影中の事故のシーンもそのまま映像として使っていたという。今では考えられない人権感覚だが、それが迫力を生み出す結果になっている。もちろん59年版ではそういうことはできず、当事者によるとけが人すらほとんど出なかったらしい。それが意外に感じられるくらいの迫力ある映像が随所に出てくる。
 余談だが、この映画、当時赤字に苦しんでいたMGMが、起死回生の一本として多大な制作費をかけて作ったものだが、結果的にMGMに多大な収益をもたらし、この映画でMGMは財政の立て直しに成功した。その話が納得できるような、おそらく当時の客は度肝を抜かれただろうという内容の絢爛豪華な映画である。映画史に残る国宝級の1本であることには間違いない。
第32回アカデミー賞作品賞、監督賞他11部門受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『グラディエーター(映画)』
竹林軒出張所『バラバ(映画)』
竹林軒出張所『クレオパトラ(映画)』
竹林軒出張所『サテリコン(映画)』
竹林軒出張所『十戒(映画)』
竹林軒出張所『スパルタカス(映画)』
竹林軒出張所『エジプト人(映画)』
竹林軒出張所『アレキサンダー(映画)』
竹林軒出張所『アレクサンドリア(映画)』
竹林軒出張所『キングダム・オブ・ヘブン(映画)』
竹林軒出張所『ローマの休日(映画)』
竹林軒出張所『おしゃれ泥棒(映画)』
竹林軒出張所『図解 古代ローマ人の日常生活(本)』
竹林軒出張所『チネチッタの魂(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2015-07-18 08:51 | 映画
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